新制度導入で職場環境改善を狙う
三井住友銀行は10月から、育児休業制度の利用を促進するため新たな取り組みを始める。1カ月以上の育児休業を取る行員本人と、その負担を分担する同僚に対し、それぞれ5万円の報奨金を支給する。大手銀行では初の試みとなり、育休取得を妨げる要因の一つである職場の負担感を軽減する狙いがある。
報奨金の対象と運用方法が決定
この制度は全行員約2万4,000人を対象とする。ただし、6カ月を超える長期休業の場合は代替要員が配置されるため、報奨金の対象外とされる。同僚に支給するかどうかは部署ごとに状況を踏まえ、ケースごとに判断される仕組みだ。女性の育休取得でも同様に報奨金が支給される。
男性行員の育休取得を必須化
同行は男性行員に対して、これまで推奨としていた1カ月の育休取得を原則必須とする方針に改めた。背景には、2023年度の男性行員の育休取得率が100%に達した一方で、平均取得日数が12日にとどまり、社内目標の30日に届かなかった実情がある。制度を強化することで、女性との利用格差を埋める狙いもある。
職場意識の改革を後押し
新制度は単なる金銭的な補助にとどまらず、育休取得を前向きに捉える社内文化の定着を意識している。特に男性行員においては、制度利用に伴う周囲への配慮が壁となってきた。今回の報奨金は、その心理的負担を取り除く役割を担うとみられる。
企業の持続的成長への影響
三井住友銀行は今回の制度導入を通じ、働きやすい職場環境の整備を進めると同時に、多様な人材の活躍を後押しする方針だ。企業全体としての生産性や人材定着率の向上につながることが期待され、金融業界における先行的なモデルとなる可能性がある。
