コスト高の収束を受け再び価格改定に踏み切る
トヨタ自動車が中小の部品メーカーに対し、2025年度下半期の調達価格引き下げを求めることが明らかになった。値下げ要請は4年ぶりで、資材やエネルギー価格の高騰を背景に控えてきたが、コスト環境の落ち着きを受けて再開されることとなった。トヨタは競争力強化を狙いとしつつも、これまでの支援姿勢を維持する方針を示している。
値下げ対象は直接取引先の約400社が中心
今回の要請は、トヨタと直接取引を行う仕入れ先約400社が対象とされ、その中でも下請法が適用される自動車部品メーカーに焦点が当てられる。下げ幅は一律ではなく、各社の経営状況や取り扱う部品の性質に応じて協議のうえ決定される。要請に応じるか否かは義務ではなく、あくまで協議ベースで進められるのが特徴だ。
取引先支援と調達戦略の両立を目指す姿勢
トヨタは2021年度以降、原材料やエネルギー価格の高騰、人件費の増加に対応するため、調達価格にそれらのコストを織り込み、部品メーカーを支援してきた。今回の値下げ要請についても、支援を継続する方針を示しており、負担を一方的に押し付けるのではなく、共存共栄を重視した交渉が想定されている。
半期ごとの価格改定で柔軟な対応を継続
トヨタの調達価格は半期ごとに改定される仕組みがあり、市場環境に応じて柔軟な対応を取ってきた。今回の値下げ再開もその一環とされ、コスト低減と国際競争力の確保に直結する。今後も市場の変化に応じて価格設定を調整し、安定的なサプライチェーンの維持が図られる見通しだ。
自動車産業全体への影響が注目される展開
この決定は、中小企業の収益に直結するため、業界内で大きな注目を集めている。調達価格の引き下げはトヨタの競争力強化につながる一方、部品メーカー側にはコスト削減や効率化が一層求められる。自動車産業全体の供給網に与える影響が、今後の焦点となる。
