次世代技術を生活空間で検証開始が判明
トヨタ自動車は静岡県裾野市で進めていた実証都市「ウーブン・シティ」の第1期区域を25日に始動した。旧東富士工場跡地を活用した敷地約4万7,000平方メートルには住居や研究施設が整備され、まず約300人が入居する。街全体を試験場とすることで、自動運転や物流、自律型モビリティなどの最新技術を住民の生活と直結させながら開発を進めることが狙いだ。
異業種連携による実証実験開始を発表
参画するのはトヨタグループ12社に加え、ダイキン工業や日清食品、UCCジャパンなど外部企業7社を含む計19社。自動運転EV「イーパレット」の運行や自律搬送ロボットの導入、歩行者信号の自動制御などが計画されている。さらに日清食品は最適化された食事の提供、ダイキンは花粉のない空間の実証を進め、教育やカフェ運営など多分野で実験が行われる。
豊田会長が強調した「掛け算」の意義
25日の式典で豊田章男会長は「ウーブン・シティで起こすのは掛け算だ」と述べ、各社の知見を組み合わせることで新たな価値が創出されると強調した。プロジェクト責任者である息子の豊田大輔氏も入居者として参加し、失敗を重ねながらもデータを集め、開発を加速させる考えを示した。
居住者拡大と一般参加の計画が判明
現在の入居者は当初予定の360人から減り約300人となったが、今後は2,000人規模に拡大する見通し。2026年度以降には一般の来訪者も受け入れられる予定で、都市全体を活用した新ビジネスやサービスの展開が期待されている。
創業の精神を受け継ぐ都市構想の影響
「ウーブン」という名称はトヨタグループ創始者の豊田佐吉氏が発明した自動織機に由来する。5年前に構想が公表されたこの都市は、自動車産業を超えた多分野の実証拠点として動き出した。街全体が「未来社会の試験場」として世界から注目を集めている。
