京都大学教授、30年に及ぶ挑戦の結実
京都大学特別教授・北川進氏(74)がノーベル化学賞を受賞した。受賞理由は、金属有機構造体(MOF)という新素材の開発。金属と有機物を組み合わせ、内部に微細な孔を持つ構造を形成することで、エネルギー貯蔵や環境対策への応用が期待される。北川氏は長年にわたり未知の分野を切り開き、「新しいものを生み出す楽しさが原動力だった」と語った。
「支えてくれた仲間と家族に感謝」
受賞の知らせは8日午後5時半ごろ、研究室での仕事中に届いたという。「最初は勧誘の電話かと思った」と笑顔で振り返った北川氏は、これまで支えてきた同僚、学生、そして家族への感謝を強調した。記者会見では落ち着いた口調で質問に答え、研究を共にした仲間たちへの敬意を何度も口にした。
科学者に必要な姿勢として「挑戦」を強調
北川氏は「科学者に必要なのは興味を持ち、挑戦する姿勢」だと述べた。数え切れない失敗を経験しながらも諦めず、地道な研究を積み重ねたという。「化学はチームプレー」とも述べ、研究室の協力体制が成果を支えたことを明かした。
関西経済界も祝福、連続受賞に期待
関西経済連合会の松本正義会長は、「イノベーション創出に大きく貢献された功績に敬意を表する」と祝意を示した。先に大阪大学の坂口志文特任教授が生理学・医学賞を受賞したことに続く快挙であり、「関西発の研究が世界をリードしている」と評価。地域全体で研究支援体制を強化していく考えを述べた。
次世代へのメッセージ「幸運は準備した心に宿る」
子どもたちへの質問に対し、北川氏はパスツールの言葉を引用し、「幸運は準備した心に宿る」と語った。日々の経験や人との出会いを大切にし、未来への基礎を築いてほしいと呼びかけた。科学への情熱と探究心を若い世代に託す姿勢が印象的だった。
