米中が相互報復措置、貿易摩擦が再び焦点に
米国と中国が14日、双方の船舶に対して港湾使用料の追加徴収を開始した。さらに中国商務省は、韓国造船大手ハンファ・オーシャンの米国関連子会社5社への制裁を発表。これらの動きが投資家心理を冷やし、米中貿易摩擦が再燃するとの懸念が強まった。
トランプ米大統領は11月から中国製品に100%の追加関税を課すと表明していたが、その後SNSで「中国を傷つけるのではなく支援したい」と発言。軟化の兆しを見せていたものの、今回の報復措置で市場の緊張が再び高まった。
米中摩擦再燃でドル軟調、円とスイスフランが上昇
ニューヨーク外国為替市場ではドルが円やスイスフランに対して下落。ドル/円は0.37%安の151.71円、ドル/スイスフランも0.801フランと軟調に推移した。ユーロ/ドルは0.33%上昇の1.1606ドルで、フランス政府が年金制度改革を2027年以降に延期すると発表したことが支えとなった。
債券市場で利回り低下、FRB発言も影響
米国債市場では、30年債利回りが4.59%まで低下。これは4月以来の水準であり、米中摩擦を背景にリスク回避姿勢が強まったことに加え、パウエルFRB議長が講演で「利下げを継続する方針を示唆した」ことも利回り低下の要因となった。
一方で、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを上方修正し、米中対立の影響が当初の想定より限定的だとの見方を示した。
株式市場は方向感乏しく、銀行株は堅調
米国株式市場では、S&P500がもみ合い。トランプ大統領が中国との取引制限を示唆したことが売り材料となる一方、米銀決算の好調さが一部の買い支えとなった。特にS&P500銀行指数は上昇し、決算内容が市場を一定程度支えた。
安全資産に資金流入、金が3日続伸
金先物は安全資産としての需要が高まり、3営業日連続で上昇。パウエル議長の利下げ方針維持も金市場を支える要因となった。一方、原油はOPECプラスを含む産油国の増産見通しに加え、米中対立激化への懸念から反落した。需給の緩みも投資家の売りを誘った。
