所得制限撤廃で支援範囲を拡大
自民党、日本維新の会、公明党の3党は29日、高校授業料の無償化に関する実務者協議を行い、2026年度からの実施で最終合意に達した。これにより、私立高校の就学支援金制度に設けられていた所得制限が撤廃され、より多くの家庭が無償化の恩恵を受けられるようになる。政府関係者によれば、現行制度の見直しにより教育格差の是正が一段と進むことが期待されている。
私立高支援上限を45万7000円に引き上げ
新制度では、私立全日制高校の支援金上限が現行の39万6000円から45万7000円へと引き上げられる。また、私立通信制高校については33万7000円が上限となる。これにより、私学に通う家庭の負担軽減が図られ、教育費の地域格差や校種間格差の是正を目指す。公立高校と私立高校の経済的な差が縮まる形となる。
外国人支援には条件を設定
支援対象からは、日本での永住が見込めない留学生や一部外国籍の生徒が除外される方針だ。外国人学校も制度対象外となるが、政府は別途予算措置を講じ、既存の支援水準を維持する意向を示している。この取り扱いについては、今後も教育現場や関係団体との協議が続く見通しである。
財源は約6000億円、税制対応も検討
制度実施に必要な財源は約6000億円と見積もられている。3党の合意文書では「税制による対応も含め確保が不可欠」と明記されており、今後の予算編成や税制改正における重要な論点となる。柴山昌彦元文部科学相は「制度の安定運営には持続的な財源確保が前提」と述べ、段階的な財政措置の必要性を強調した。
実施後3年で制度検証へ
新制度の効果や課題については、導入から3年程度で検証を行い、必要に応じて見直すことが確認された。教育費支援の公平性や制度運用の効率化を図る観点から、定期的な評価を実施する方針である。今回の合意により、政府は「教育の機会均等」という目標に一歩近づいた形となった。
