米EV需要減速が車載電池事業に打撃
パナソニックホールディングス(HD)は30日、2026年3月期の連結純利益予想を3,100億円から2,600億円へ下方修正した。主な要因は米国の電気自動車(EV)市場の停滞で、北米工場の車載電池販売量が期初想定を約13%下回る見通しとなった。トランプ政権が9月にEV購入補助金を打ち切った影響も重なり、収益押し上げ効果が200億円減少している。
人員削減と構造改革費用が業績を圧迫
同社は今年発表した1万人規模の人員削減を進めており、そのうち国内外で5,000人ずつを対象としている。国内では早期退職の応募が想定を上回り、構造改革費用を200億円上乗せして1,500億円とした。楠見雄規社長は記者会見で「改革は予定通り進んでおり、財務体質の改善を図る」と述べた。
テレビ事業は継続、課題事業から脱却へ
低収益部門とされてきたテレビ事業については、売却や撤退は行わず自力再建を目指す方針を明らかにした。楠見氏は「2026年度には課題事業からの脱却が見込める」とし、国内外での販売効率化や製品ラインの見直しを進める考えを示した。今後は映像・家電分野でのブランド力再構築に注力する。
AI分野での新投資、日米連携枠組みに参画
28日に公表された日米両政府の最大4,000億ドル規模の投資プロジェクトに、パナソニックHDもAI分野の主要企業として参画している。同社はエネルギー貯蔵システムやサーバー用電子材料などの強化を掲げ、「積極的な設備投資の可能性がある」と楠見氏は言及した。AI関連需要の拡大は、EV分野の低迷を補う成長要素と位置付けている。
中間決算は減収減益、海外需要が低迷
2025年9月期中間連結決算では、売上高が前年同期比10.1%減の3兆8,204億円、純利益が24.6%減の1,424億円となった。アジアやインドで家電需要が減少する一方、国内ではヒートポンプなどの堅調な販売が支えとなった。車載部品子会社の非連結化も影響し、通期業績は依然として厳しい環境にある。
