新担当室創設で制度点検が開始された状況
政府は11月25日、政策減税や多様な補助金、基金を体系的に見直すための専任組織「租税特別措置・補助金見直し担当室」を新設した。行政改革推進本部の再編として位置づけられ、政策支出の妥当性を改めて検証する仕組みとして運用が始まる。組織は関係省庁からの人員を含め約30人で構成し、内閣官房が主導して点検作業を進める。政策効果の低い支出を洗い出し、財政の持続性を確保するための基礎作業が本格化する。
日本版DOGEの概念に基づく改革方針を発表
担当室はアメリカで導入された「政府効率化省(DOGE)」を参考に設計され、国内における政策支出の効率化を担う。対象となるのは、企業向け減税に分類される租税特別措置や、高額な公的支援に含まれる補助金・基金である。財務省の主計局・主税局、総務省の自治税務局や行政評価局などとも連携し、制度効果の測定と整理を進める。政府は支出全体の構造改善を押し出すことで、「責任ある積極財政」の実現を目指す。
初会合予定と点検プロセスの開始が判明
政府は12月初めにも関係府省の副大臣らによる会合を予定しており、見直しに向けた手続きが動き出す。各省庁には過去の行政評価や監査で指摘された事項の整理が求められ、改善余地のある項目が抽出される見通しだ。またSNSを利用した国民意見の募集方針も検討されており、制度運用の問題点を幅広く把握する体制が整えられつつある。
27年度に向けた政策反映の影響が拡大
片山さつき担当相は、見直しの成果が最大限に反映されるのは2027年度の予算や税制改正になるとの見方を示した。春から作業を進め、夏にまとめられる骨太方針にも盛り込む計画が示されている。また、26年度の議論でも緊急性が高い項目は反映される可能性があると説明した。制度点検の結果は、政策支出の配分や減税策の再評価に影響を与える。
議論公開検討と政策評価の再整理が進行
片山氏は議論の透明化にも言及し、省庁間の調整を公開の場で行う可能性に触れた。租税特別措置は賃上げや競争力確保を目的とするが、一部では見直しを求める意見が専門家から出ている。今後の作業が進めば、補助金の整理や減税制度の再構築につながる可能性があり、政策支出全体の位置づけが再整理される局面を迎える。
