巨額赤字から黒字転換を見込む業績計画
日産自動車は5月13日、2027年3月期の連結最終損益が200億円の黒字になるとの見通しを公表した。前期は構造改革費用や電気自動車関連の減損などを計上し、最終損益が5330億円の赤字となっていた。今期はこうした一時的な費用負担が大きく減ることで、3年ぶりの黒字転換を見込む。
本業のもうけを示す営業利益は、前期比で大幅に増え、2000億円を計画する。前期の営業損益は580億円の黒字で、売上高は前の年度より4.9%減の12兆78億円だった。販売環境は依然として厳しいが、固定費削減と販売効率化を進めることで収益の改善を目指す。
構造改革費用の縮小が改善要因に
日産は経営再建に向け、生産拠点や人員の見直しを進めてきた。前期には構造改革やEV関連の減損として2401億円を特別損失に計上し、これが最終赤字の大きな要因となった。今期は構造改革に伴う費用が大幅に減るため、最終損益の改善につながるとしている。
同社は世界の生産拠点を17から10に減らす方針をすでに示している。今期中には、統廃合対象となる7拠点のうち6拠点で再編を終える予定だ。工場統廃合後は、中国を除く世界の生産能力を250万台とし、平均で約80%の稼働率を前提に事業運営を進める。
世界販売330万台を計画し主要市場で増加
今期の世界販売台数は、前年比4.7%増の330万台を計画している。日本、北米、欧州、中国など主要市場で販売増を見込む。販売台数の回復は、黒字転換を実現するうえで重要な要素となる。
イバン・エスピノーサ社長は、米国市場について、収益性の低い法人向け大口販売への依存を下げ、個人向け販売に軸足を置いていると説明した。日本ではマーケティングの強化で販売店への来店が戻りつつあるとした。中国では対象顧客を絞った販売戦略により、日産車の位置づけが明確になりつつあるとの認識を示した。
米関税と中東情勢が収益を圧迫
一方、外部環境は収益の重荷となっている。日産は今期の営業利益に対し、米国の関税措置による影響を約2500億円と見込む。前期も米関税の影響で営業利益が2860億円押し下げられたが、円安効果などにより営業黒字は確保した。
中東情勢の影響については、物流の乱れによる販売台数の減少や原材料価格の上昇を織り込み、今上期に150億円の営業減益要因を見込む。影響を受ける台数は約1万9000台と想定している。日産は原材料の代替調達、中東向け輸送ルートの変更、一部車両の仕向け地変更などを進めている。
販売回復と資金確保が再建の焦点
前期の自動車事業フリーキャッシュフローは通期で4808億円の赤字だった。ただ、下期は1120億円の黒字に改善しており、運転資本の見直しや資本配分の管理が進んだとしている。期末時点の自動車事業のネットキャッシュは1兆1700億円だった。
自動車事業の手元資金と現金同等物は2兆2000億円で、販売金融会社への貸付金1兆4000億円を含め、合計3兆6000億円の流動性を維持した。日産は不透明な事業環境に対応できる資金を確保していると説明している。一方、配当は3年連続で無配とする方針で、販売回復と収益改善を実行できるかが今後の課題となる。
