安東会談で協力拡大の方針を確認
高市早苗首相は5月19日、韓国南東部の安東で李在明大統領と会談した。会談は約2時間にわたり行われ、両首脳が相互訪問を続ける「シャトル外交」の一環として位置づけられた。安東は李大統領の地元であり、1月に高市首相の地元・奈良で会談した流れを受けた開催となった。
両首脳は、国際情勢が不安定化する中で日韓の意思疎通を継続する重要性を確認した。高市首相は、日韓関係の良好な流れを発展させ、両国がインド太平洋地域の安定に役割を果たす必要性を示した。李大統領も、急変する国際情勢に対応するため、両国が戦略的な協力相手として課題を協議したと説明した。
エネルギー供給網の強化で一致
今回の会談で中心となったのは、エネルギー分野の協力である。両首脳は、中東情勢の影響を踏まえ、インド太平洋地域におけるエネルギー供給の強化に取り組むことで一致した。原油やLNGの供給、備蓄状況に関する情報共有も進める方針を確認した。
日本側は、原油や石油関連製品の確保を支援する「POWERR Asia」の枠組みに言及した。この枠組みの下で、アジア各国などの備蓄強化を含む供給体制の安定化を進める。日韓両国は、これに加えて自国のエネルギー安全保障を高める協力も柱に据えることになった。
政策対話設置へ実務協議を加速
両政府は、エネルギー協力を具体化するため、政策対話を立ち上げる方向で調整する。産業や通商政策に関わる当局間の協議を強め、実行可能な行動を検討する。協力内容には、原油やLNGの融通、備蓄体制の確認、供給不安が生じた際の連携が含まれる。
会談では、重要鉱物を含むサプライチェーン協力も議題となった。両首脳は、2026年3月に作成された覚書を歓迎し、供給網の安定に向けて協力を進める姿勢を示した。エネルギーと重要鉱物の双方で、経済安全保障に関わる連携を広げる流れが明確になった。
ホルムズ海峡と安全保障も協議
中東情勢をめぐっては、ホルムズ海峡の航行の安全も取り上げられた。両首脳は、海峡での自由で安全な航行を確保し、事態の沈静化へ努力を続ける方針を確認した。エネルギー輸送の重要経路に関する懸念が、日韓協力の背景にある。
安全保障面では、北朝鮮の核・ミサイル問題への対応を協議した。日韓両国に加え、日米韓3か国で緊密に連携する重要性を改めて確認した。高市首相は拉致問題の即時解決に向けた李大統領の支持に謝意を示し、地域の安定に関わる課題でも連携を継続する考えを示した。
シャトル外交が信頼醸成の軸に
会談後の共同記者発表で、高市首相は、双方の地元を訪問する形で首脳会談を重ねたことにより、信頼関係が深まったとの認識を示した。日韓間に時差がないことにも触れ、必要に応じて頻繁に電話で意思疎通することを約束したと述べた。次回は日本の美しい地域に李大統領を迎えたいとの考えも示した。
李大統領は、従来はソウルと東京を中心としていた首脳交流の舞台が地方都市に広がった点に意義があると述べた。両国が協力できる分野は多いとして、シャトル外交が定着したとの見方を示した。今回の会談は、エネルギー、供給網、安全保障を横断する日韓協力を進める節目となった。
