エネルギー高への対応が焦点
政府・与党は、中東情勢の混迷が長引く場合に備え、2026年度補正予算案を3兆円規模で編成する方向で検討に入った。原油調達への不安がエネルギー価格に波及する中、家計や企業への影響を抑えるため、追加対策の財源確保を急ぐ。補正予算案は来月上旬に国会へ提出される見通しで、規模や内容は今後の調整で変わる可能性がある。
夏場の電気・ガス料金を抑える支援策には、既存の予備費から5000億円程度を充てる方向で調整している。高市早苗首相は5月18日の政府与党連絡会議で、7~9月の電気・ガス料金が昨夏の水準を下回るよう支援する考えを示した。物価高が続く中、政府は生活費の上昇を抑える対策を重視している。
電気ガス補助に5000億円
昨夏の電気料金支援では、政府が7月と9月に1キロワット時当たり2円、8月に2.4円を補助した。月400キロワット時を使う一般家庭では、800~960円の負担軽減につながった。今夏の補助は、この水準に1~2円程度を上乗せする方向で調整されている。
昨夏はガス料金支援も含め、2881億円を予備費から支出した。今回は補助額が膨らみ、5000億円程度になる見通しだ。政府は同様に、2026年度予算の予備費を活用し、夏の需要期に間に合うよう支援を実施する構えである。
ガソリン支援の財源確保急ぐ
ガソリン補助金についても、政府は継続を視野に入れている。足元の支出は月5000億円規模に上るとみられ、基金は6月中にも枯渇する可能性がある。中東情勢の緊張が長引けば、原油価格や燃料価格への影響が続き、補助制度の財源不足が深刻化する。
ホルムズ海峡の封鎖が長期化する事態も想定されており、政府・与党内では予備費を積み増す必要性が指摘されている。補助額の見直しも課題となっており、支援の水準と財政負担の両立が問われる。エネルギー価格対策は、補正予算案の主要項目となる見込みだ。
財源は赤字国債で対応へ
2026年度予算には、中東危機への対応費用は盛り込まれていない。有事に備える予備費は1兆円にとどまり、追加対策を実施するには財源の手当てが必要となる。政府・与党内では、補正予算で3兆円程度を追加する案が有力となっている。
財源には赤字国債を充てる見通しだ。政府は、経済成長や税収増を踏まえ、既に決定した国債発行額を一部圧縮できるとみている。その範囲内で新たな国債発行を行い、金融市場への影響を抑える考えである。
市場の信認維持も課題に
金融市場では、財政拡張への警戒感が強まっている。政府は対策を必要最低限に絞り、財政悪化への懸念を抑える姿勢を示す方針だ。片山さつき財務相は5月21日の講演で、「財政の持続可能性を確保し、マーケットの信認を維持する原則を一切譲らず、強化していきたい」と述べた。
自民党と日本維新の会の間では、補正予算案を巡る調整が進んでいる。電気・ガス料金、ガソリン補助、予備費の積み増しをどう組み合わせるかが今後の焦点となる。中東情勢の長期化に備える一方、財政規律を保てるかが、政府・与党の政策判断を左右する。
