60日停戦案を軸に戦争終結協議が進展
イラン外務省のバガイ報道官は5月25日、14項目の覚書で扱われた多くのテーマについて結論が出たと説明した。覚書は戦争終結と米国による海上封鎖の解除を中心に据え、イランがホルムズ海峡で安全な航行を確保する措置を取ることを前提としている。ただし、同報道官の発言は、最終合意が目前にあることを示すものではない。
双方は、戦争を止めた上で交渉担当者に60日間の猶予を与える案をめぐり、一定の前進があったとしている。この期間中に核問題を含む協議を進める構想が示されている。米国側も、この期間を使って期限を区切った核協議に入る考えを示している。
核開発と制裁解除で対立が残る
協議では、イランの核開発計画をめぐる意見の隔たりが続いている。米国はイランが核爆弾製造を目指しているとみているが、イランは一貫して否定し、原子力計画は平和目的だと主張している。焦点はウラン濃縮であり、原子力発電の燃料となる一方、核弾頭の材料にもなり得る点が問題視されている。
イラン外務省幹部のホセイン・ヌーシャバディ氏は、イラン側の初期合意案には核計画に関する約束は含まれていないと述べた。これに対し、米政権高官は、イランが高度濃縮ウランの処分に応じたとの認識を示している。双方の説明には差があり、核分野は今後の詰めの協議で大きな争点となる。
海峡と港湾封鎖が交渉手段に
ホルムズ海峡とイラン港湾の封鎖は、双方にとって重要な圧力手段となっている。イランはホルムズ海峡の支配を交渉上のカードと位置付け、米国はイランの港湾封鎖を維持している。米高官によると、イランは米国の封鎖解除と引き換えに、海峡開放へ原則的に同意したとされる。
一方、バガイ氏は暫定合意案に海峡管理の詳細は含まれていないと述べた。ヌーシャバディ氏も、海峡管理はイランとオマーンの間で協議されている問題だとしている。戦争停止に向けた枠組みが動き出しても、海上交通の扱いは別の論点として残る。
弾道ミサイルと資産解放も争点
米国は戦争前から、イランの弾道ミサイルの射程を制限し、イスラエルに届かないようにすることを求めていた。これに対し、イランは通常兵器に関する権利は交渉対象にならないとの立場を取り、弾道ミサイルをめぐる協議を拒んできた。大量の兵器を保有しているとの説明も維持している。
制裁の緩和と凍結資産の扱いも、交渉で避けて通れない論点となっている。イラン経済は長期にわたり制裁の打撃を受けており、同国は海外金融機関に凍結された数百億ドル規模の原油収入の返還を求めている。加えて、戦争による損害への補償も要求しており、経済分野の調整は難航している。
最終合意には複数分野の調整が必要
現時点で協議は、停戦期間を設けて最終合意を探る段階にある。14項目の覚書で一定の整理が進んだ一方、核問題、海峡管理、封鎖解除、制裁、凍結資産、弾道ミサイルなど主要分野で隔たりが残る。米国とイランの説明にも相違があり、同じ枠組みをめぐって認識の差が表面化している。
戦争終結に向けた合意には、ホルムズ海峡の安全確保と米国の海上封鎖解除をどう結び付けるかが重要となる。さらに、核協議を60日間でどこまで進められるかも焦点となる。停戦案の進展は交渉継続の土台となるが、最終合意には複数の未解決問題を整理する必要がある。
