初参加の高市首相に注目集まる
高市早苗首相は15〜17日、フランス東部エビアンで開かれるG7サミットに初めて参加する。G7は日本にとって、国際社会で政策や立場を示す重要な外交舞台である。アジアで唯一のG7参加国として、日本の首相がどのような存在感を示すかが注目される。
今回のサミットでは、ウクライナ情勢や中東問題、貿易不均衡、重要鉱物の供給網、AIなどが議題となる。高市首相にとっては、複数の国際課題を同時に扱う場での初参加となる。国内外の視線は、首脳間の協議における発信力にも向けられる。
安倍氏が築いた首脳外交
歴代首相の中で、安倍晋三元首相は最多となる計8回のG7サミットに出席した。安倍氏は「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、首脳会議の場でも日本の立場を示してきた。2016年の伊勢志摩サミットでは、東シナ海と南シナ海をめぐる懸念を首脳宣言に反映させた。
安倍氏は出席回数を重ねる中で、他国首脳から頼られる場面も増えた。2018年のカナダ・シャルルボワサミットでは、気候変動や貿易をめぐって米国と欧州・カナダが対立した。関係者によると、安倍氏が調整役を担い、トランプ米大統領が受け入れる場面もあった。
岸田氏は広島で核問題発信
岸田文雄元首相は、2023年の広島サミットで核兵器をめぐる発信に力を入れた。ロシアによるウクライナ侵攻が続き、プーチン露大統領が核兵器の使用を示唆する中で、核による威嚇や使用を認めない姿勢を打ち出した。G7首脳による広島平和記念資料館の視察も主導した。
広島サミットでは、ゼレンスキー大統領の参加も水面下で調整された。拡大会合には新興・途上国も出席し、ゼレンスキー氏がウクライナの現状を幅広い国々に伝える機会となった。インドのモディ首相と隣り合う席順にするなど、外交上の工夫も行われた。
米欧対立下で問われる調整力
一方、近年のG7では日本の役割が十分に発揮できたとは言い難い状況もあった。石破茂前首相が出席した昨年6月のカナナスキス・サミットでは、トランプ氏が初日で会議を切り上げた。包括的な首脳宣言も見送られ、米欧間の橋渡し役としての成果は限定的だった。
多国間協調を重視しない姿勢が強まる中で、G7の合意形成は難しさを増している。今回のエビアン・サミットでも、ウクライナ支援をめぐる欧米の温度差が指摘されている。日本の首相には、各国の立場を踏まえながら議論に加わる外交力が求められる。
エビアン会合が試す日本外交
今回のG7には、ウクライナのゼレンスキー大統領が参加する見通しだ。さらに、エジプト、サウジアラビア、カタール、UAEの首脳らも招かれ、中東情勢について協議される予定である。安全保障、経済、技術を横断する議題が並ぶ中、日本の発言の重みも問われる。
高市首相にとって、初のG7サミットは歴代首相が築いてきた外交の延長線上にある。安倍氏は首脳間の信頼を背景に調整力を示し、岸田氏は広島から核問題を発信した。エビアンでの会合は、高市首相が国際舞台でどのように日本の立場を示すかを測る機会となる。
