米イラン覚書署名で停戦延長へ前進する局面
米国のトランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領は、戦闘終結に向けた覚書に署名した。トランプ氏は6月17日、パリ近郊のベルサイユ宮殿で開かれた夕食会の場で署名し、イラン国営通信もペゼシュキアン氏が18日未明に署名したと伝えた。覚書は14項目で構成され、停戦の延長と最終合意に向けた協議の土台となる。
ホワイトハウスは署名の様子を映像で公開した。G7サミット終了後の場で行われた署名には、フランスのマクロン大統領夫妻も同席した。米イラン間の軍事的緊張が続く中、覚書は交渉を継続するための枠組みとして示された。
ホルムズ海峡の通航管理が主要な論点に浮上
覚書の中で特に注目されたのは、ホルムズ海峡の航行再開に関する取り決めだった。米政府高官の説明では、イランは60日間、無償での通航を可能にするため最大限の準備を進める内容に同意した。これにより、当面は船舶の往来を回復させる方向性が示された。
一方、60日後については、イラン側が通航料やサービス料を含む管理制度を導入する余地が残された。ホルムズ海峡はエネルギー輸送の重要な海上交通路であり、通航条件は国際経済にも影響する。無償期間後の制度設計が、今後の協議で重要な争点となる。
高濃縮ウラン処分で条件緩和の見方が広がる
核問題をめぐっては、イラン国内にある高濃縮ウランの扱いが覚書に記された。内容では、最低限の措置としてIAEAの監督下で現地において希釈する対応が示された。これは濃縮度を下げることで、核兵器保有を防ぐ狙いを持つ。
トランプ氏は当初、高濃縮ウランを米国へ引き渡すよう求めていた。今回の覚書では、イラン国内に残したまま処分する道が残されている。米側が従来の要求から条件を緩めたとの見方が、米国内の批判につながっている。
共和党内からも覚書内容に批判広がる
覚書の内容に対し、米国内では与党・共和党の議員からも批判が出ている。キャシディー上院議員は、制裁解除や爆撃停止に触れ、政権の対応を厳しく非難した。戦争前の状態へ戻すためにイランへ譲歩したとの受け止めが広がっている。
米ニュースサイトや米紙も、トランプ氏が以前に掲げていた「完全降伏」や核開発計画の解体という目標と、覚書の内容に差があると指摘した。これに対し、トランプ氏はSNSで反論し、自身の対イラン姿勢は十分に強いと主張した。外交成果を強調する政権と、内容を問題視する批判側の対立が鮮明になった。
履行確認と最終合意が今後の焦点となる局面
トランプ氏は会見で、覚書について紛争終結、ホルムズ海峡の開放、イランの核兵器保有阻止につながる成果だと述べた。さらに、60日以内に最終合意がまとまらない場合は再び爆撃すると発言し、軍事的圧力を維持する姿勢を示した。一方で、交渉期限については、イランが適切に対応する限り柔軟に扱う考えも示した。
高市首相は、関係国の外交努力が形になったことを歓迎したうえで、覚書の着実な履行とホルムズ海峡での安全な航行再開が重要だと表明した。今後は、核問題を含む最終合意の実現が焦点となる。覚書は停戦延長への一歩となったが、通航管理、ウラン処分、米国内批判という複数の課題を抱えたまま、次の交渉段階に入る。
