円安進行で1ドル161円台後半を記録
22日の東京外国為替市場では、円が対ドルで一段と値を下げ、取引時間中に1ドル=163円台前半まで下落した。これは1986年12月以来、約39年7カ月ぶりの円安水準に当たる。
前日のニューヨーク市場でも163円24銭まで円売りが進んでおり、海外市場で強まったドル高の流れが東京市場にも引き継がれた。午後5時時点では162円94銭前後となり、前日と比べて34銭の円安・ドル高だった。
ユーロに対しても円は弱含み、1ユーロ=185円88~92銭で推移した。円の下落はドルとの取引に限らず、幅広い通貨に対して進んだ。
中東情勢への警戒強まり安全性重視のドル需要拡大
相場を動かした主要因は、米国とイランによる攻撃の応酬が続き、情勢が一段と不安定になるとの警戒だった。国際的な緊張が強まる中、投資家の間ではドルを確保する取引が優勢となった。
東京市場でも、円を売ってドルを購入する動きが朝方から広がった。軍事衝突がさらに激しくなることへの不安が解消されず、ドルを選好する流れが継続した。
地政学的な不透明感は、円を約39年半ぶりの安値圏まで押し下げる主要な材料となった。中東情勢の悪化に対する警戒が薄れない中、円の買い戻しは限定的だった。
原油高と米長期金利上昇が円相場の重荷に
中東地域からの原油供給が滞るとの不安が再燃し、原油先物価格は高い水準で推移した。エネルギー価格の上昇を通じて米国の物価が押し上げられるとの見方から、インフレへの警戒も強まった。
物価上昇への懸念を背景に米国の長期金利が上昇し、日本との金利差が改めて意識された。相対的に金利の高いドルを保有する動きが広がり、円には一段の売り圧力がかかった。
中東の軍事情勢が原油相場を動かし、米金利を通じて為替市場にも影響を及ぼした。地政学上の不安と金利差の双方が、ドル高・円安の流れを支えた。
貿易赤字拡大への懸念も円売り圧力を強める
原油価格の上昇は、資源輸入への依存度が高い日本にとって輸入額の増加につながる。市場では、エネルギー関連の支払いが膨らみ、日本の貿易赤字が拡大するとの見方も意識された。
輸入企業が代金決済に必要な外貨を調達するため、円を売ってドルを購入する取引が増えるとの観測も円相場の重荷となった。原油高が続けば、輸入負担の増加を通じて円売り需要が強まるとの認識が広がりやすい。
中東情勢、米長期金利、日米金利差、貿易収支という複数の要素が同時に円安方向へ作用した。円を買い戻す材料が乏しい中、相場は安値圏で推移した。
政府の介入警戒で円の下落幅は一時的に縮小
急速な円安に対し、片山さつき財務相は必要な場合には措置を講じる姿勢を示した。木原稔官房長官も、政府と日銀が状況に応じて対応する方針を明らかにした。
こうした発言を受け、市場では円買い・ドル売り介入への警戒が強まり、円の下落幅は取引後半に縮小した。163円台へ下落した後も円売り一辺倒とはならず、政府の行動を見極めようとする動きが一定の歯止めとなった。
一方、市場関係者からは、介入が実施されても円高方向への影響は長く続きにくいとの見方が出ている。政府発言が相場の急変を抑える中でも、海外情勢や原油価格、金利差を背景とする円売り圧力は残った。
