新鹿沼駅構内の除草作業中に4人が死亡確認
20日午前10時45分ごろ、栃木県鹿沼市の東武日光線新鹿沼駅構内で、線路上の除草作業に当たっていた男性作業員7人のうち4人が、浅草行きの特急「スペーシアX2号」と接触した。4人は50代から60代とみられ、意識不明の状態で病院へ搬送された後、死亡が確認された。列車の乗客と乗員にけがはなかった。事故当時、作業員はホーム下の線路上で除草剤を散布しており、列車の運行時間帯に作業が行われていた。
退避完了を示す黄色旗の合図後に特急が進入
東武鉄道によると、列車が近づいた際には作業員を線路外へ移動させ、見張り員が全員の退避を確認したうえで列車に手信号を出す決まりだった。事故当時、現場から約80メートル離れた場所にいた見張り員が、退避完了を意味する黄色い旗を掲げ、運転士はその合図を確認して警笛を鳴らした。スペーシアX2号は新鹿沼駅に停車するため減速しながら構内へ入っていた。安全確認の一連の動作が行われた後に4人との接触が起きており、東武鉄道は黄色旗が出された経緯を確認している。
見張り2人体制で生じていた意思疎通の問題
上り線の見張りは本来2人で担当することになっていたが、当時はそのうち1人と意思疎通ができない状態だった。もう1人の見張り員が列車側へ黄色旗を示したものの、作業員がどの段階まで退避していたのかなど、事故に至る詳細は調査中となっている。通常は列車接近を把握すると見張り員が作業員へ退避を促し、安全な場所への移動を確認してから通過可能の合図を出す。退避が終わっていないなど危険がある場合には、赤い旗を使って列車を緊急停止させる手順が定められている。
日中の線路内作業で求められる安全確認手順
線路の維持管理で作業員が立ち入る際は、通常、列車を接近させない「線路閉鎖」の手続きを取り、夜間に作業する方法が用いられる。一方、比較的簡単な作業については、見張り員を置いたうえで日中の運行時間帯に実施する例もあり、東武鉄道も安全確認を徹底できる場合は日中作業を認めていた。近年は鉄道各社で安全対策が進み、JR東日本では列車接近を無線で受信する警告機を作業員全員が装着している。赤外線センサーやレーザー、AIカメラを活用する例もあるが、運行本数の少ない路線では人による監視に頼る場面も残る。
警察と事故調査官が安全確認の経緯を詳しく調査
事故後、警察は現場で詳しい状況の確認を進め、運輸安全委員会の鉄道事故調査官らも新鹿沼駅構内に入り調査を行った。事故の瞬間を捉えた映像では、スペーシアXがゆっくり駅へ近づき、ホームのかなり手前で停止する様子が確認されているが、映像上では作業員の姿は見えていない。東武日光線は事故の影響で新栃木駅―下今市駅間の上下線で運転を見合わせたものの、午後3時22分に全線で運転を再開した。今後は、作業員の退避状況、見張り員同士の連携、列車側への手信号がどのような判断で行われたのかが事故原因を明らかにする焦点となる。
