複数のAIだけで構成する新部署が始動
NECは8月初め、人工知能を活用したAIエージェントのみで構成する新たな部署を設置した。複数のAIにそれぞれ異なる役割を持たせ、社内から依頼された仕事の分担から実行、分析までを連携して処理する体制を構築した。人が個別の工程ごとに指示を出す従来型のAI利用とは異なり、AI同士が協調しながら一連の業務を進める点が特徴となる。NECは定型的な作業をAIに担わせ、人間の社員がより高度な仕事へ時間を振り向ける組織運営を目指している。
部門長から社員まで4階層の役割を設定
新部署では、「部門長」や組織統制を担う「ボード」、「マネジャー」などのAIを4つの階層に分けて配置している。別の部署から業務の依頼が届くと、AIマネジャーが内容を確認し、処理に必要なAI社員をその都度つくり出して仕事を割り当てる。固定されたAIだけですべての案件を処理するのではなく、依頼された内容に応じて実務を担うAIを準備する仕組みとなっている。部署内で生じた課題についてもAI間で情報を共有し、必要に応じて改善策を実行する。
会議資料や売り上げ更新など実務を担当
AI部署に任せる業務には、役員会議で使用する資料の作成や売り上げ情報の日次更新などが含まれる。さらに経営分析にもAIエージェントを活用し、複数の役割を持つAIが作業を分担して結果をまとめる。部署内部で解決できない課題が発生した場合には、別部門で働く社員に対応を求めることも想定している。NECはこれまでも社内業務にAIを利用してきたが、人間による逐次の指示を挟まず、複数のAIが協力して仕事を完了させる運営形態は同社で初めてとなる。
実証では処理時間を従来の7分の1に短縮
NECが実証段階で資料作成や経営分析をAIに担当させた結果、対象業務の処理時間は従来の7分の1まで短くなった。複数の工程をAIエージェント間で連携させることで、人が作業を引き継ぎながら進める際に必要だった時間を抑えた形だ。AIの利用拡大を巡っては人員削減への懸念もあるが、NECは単純に人の仕事を置き換えるのではなく、定型業務をAI側へ移す方針を示している。社員には企画立案や顧客への対応など、人の能力を必要とする分野への注力を促す。
AIと人が役割を分担する組織運営へ
NECの取り組みは、生成AIを個人の業務支援ツールとして利用する段階から、複数のAIが組織として仕事を進める運用へ踏み込んだものとなる。AIマネジャーが必要なAI社員を用意し、階層ごとに役割を分担することで、人間の部署に近い業務管理の構造をAI上に設けた。同社はAIに処理可能な仕事を移しながら、人間の社員を創造性や対人能力が必要な領域へ振り向ける。AIによる業務処理と社員による高度な業務を組み合わせ、人とAIが役割を分ける体制の構築を進める。
