10月から輸入小麦の政府売渡価格を12%引き上げ
農林水産省は9月9日、政府が輸入した小麦を製粉会社などへ販売する際の価格を、10月から引き上げると発表した。対象となる主な5銘柄の平均価格は1トン当たり7万20円となり、現在の水準から12%高くなる。引き上げ幅は1トン当たり7500円で、新たな価格は2027年3月までの半年間に適用される。
日本で使われる小麦の8割以上は海外からの輸入に依存している。安定供給を確保するため、政府が一括して調達したうえで国内の製粉会社などに販売する仕組みが採られており、その価格は半年ごとに見直される。今回の改定では、国際的な調達環境の変化が国内の売渡価格に反映された。
円安と中東情勢悪化で輸送コストの負担が拡大
価格上昇の背景には、外国為替市場での円安に加え、中東情勢の悪化によって原油価格や燃料費が上昇したことがある。輸送に必要な費用が膨らみ、海外から小麦を運ぶ際の負担が増した。ホルムズ海峡を巡る緊張の高まりも輸送コストを押し上げる要因となった。
さらに、ロシアとウクライナの攻撃の応酬を受け、小麦の国際価格も上向いた。輸入代金だけでなく物流費も増えたことで、政府が国内事業者へ販売する価格を引き上げる必要が生じた。複数の外部要因が重なり、半年ごとの価格改定に反映された形だ。
1トン7万円超は2023年4月期以来3年半ぶり
今回示された1トン当たり7万20円という平均価格は、7万円台に乗る水準となる。政府の売渡価格が1トン当たり7万円を超えるのは、2023年4月期以来、3年半ぶりとなる。当時はロシアによるウクライナ侵攻の影響が強まり、価格が過去最高を記録していた。
今回も国際情勢と為替の変動が国内価格に波及した。小麦は日常的に消費される多くの食品に使われるため、政府売渡価格の変化は製粉会社や食品メーカーの原材料費に関わる。特にパンや麺類など、小麦を主要原料とする製品ではコスト面への影響が注目される。
小売価格への影響は商品ごとの原料比率で差
一方、小麦価格の上昇分がそのまま店頭価格に反映されるわけではない。小売価格に占める小麦代金の割合は、家庭用薄力粉で約20%、食パンで約7%とされる。原料以外にも製造費や物流費などが含まれるため、今回の引き上げによる小売価格への影響は数%以下にとどまるとされている。
ただ、政府の売渡価格が上がれば、製粉会社などの仕入れ負担は増える。食品ごとに原料構成が異なるため、影響の大きさも一律ではない。農林水産省は、今後の関連商品の価格動向を注意深く確認する方針を示している。
国際情勢の変化が国内の食品コストにも波及
今回の価格改定は、円安、中東の緊張、原油高、ウクライナ情勢といった国際的な要因が、日本の小麦調達費に重なって影響した結果となった。輸入依存度が高い小麦では、海外市場や輸送環境の変化が国内価格に反映されやすい構造が改めて示された。
10月からの政府売渡価格は半年間維持される。小麦代が商品価格全体に占める割合は限られるものの、パンやうどんなど幅広い食品で原材料費の上昇要因となる。農林水産省は関連製品の価格推移を確認しながら、今回の改定による影響を見ていく。
