60年続いたCES出展を2027年は初めて見送りへ
パナソニックホールディングスは、2027年1月に米国ラスベガスで開かれる世界最大級のテクノロジー展示会「CES」への単独出展を見送る。1967年の第1回から60年連続で参加してきたが、個別ブースを設けないのは今回が初めてとなる。同社は今夏までに方針を決め、主催者である全米民生技術協会にもすでに伝えた。
CESは先端技術や新製品を世界に紹介する場として知られ、パナソニックも長年活用してきた。今回の判断で、初回から続いた連続出展は2026年までで途切れる。
情報発信の多様化を受け活動全体のあり方を再検討
出展を見送る背景には、企業と顧客や取引先などを結ぶ情報発信の方法が広がっていることがある。パナソニックHDは、デジタルメディアや自社独自のイベントなど、ステークホルダーと接する手段が増えていると説明している。そのうえで、期待される成果を踏まえながら、コミュニケーション活動全体を継続的に見直しているとした。
大規模展示会だけでなく、複数の発信経路を使える環境への変化が今回の判断につながった。同社はCESそのものの重要性を否定しておらず、発信機会としての価値を認めている。参加の有無ではなく、企業価値の向上や事業成長への寄与を重視して活動を選ぶ姿勢を示した形だ。
コスト削減が目的ではないとパナソニックHDが説明
パナソニックHDは、CESへの出展中止について、経費削減を主眼とした対応ではないと明確にしている。会社側は、企業価値や事業の成長にどの程度つながるかを重視し、広報やコミュニケーションの取り組みを全体として再検討していると説明した。単純に出展費用を抑えるための措置とは位置づけていない。
CESは長年、企業が新技術や製品を一斉に披露する代表的な国際展示会の一つだった。一方で、現在は企業が自ら発信する機会やデジタル上の接点が増えている。パナソニックHDは、こうした状況の変化を踏まえ、60年間続けた形式をそのまま維持するのではなく、成果を基準に情報発信の手法を選び直す考えを示している。
業界団体のブースでは技術や製品を展示する可能性
2027年のCESでパナソニックHDが自社の個別ブースを設ける予定はない。ただし、会場から完全に姿を消すと決まったわけではなく、業界団体が設置するブースなどを通じ、自社の技術や製品を紹介する可能性は残されている。参加形態を縮小しながら、一部の展示に関わる余地がある。
今回取りやめるのは、パナソニックHDとして続けてきた従来型の単独出展である。大規模な個別展示とは別の形で、CESとの接点を残す余地がある。
2028年以降のCES参加はその都度判断する方針
2028年以降に再びCESへ単独出展するかどうかは決まっていない。パナソニックHDは、今後の参加について各年の状況を踏まえて判断する方針を示しており、2027年の見送りが恒久的な撤退を意味するものではない。コミュニケーション施策全体の評価を続けながら、出展の必要性を検討することになる。
CESを巡っては、ソニーグループも2026年の出展を見送っている。かつて日本の家電メーカーが新商品を世界へ発信する主要な舞台だった一方、国内大手では参加を縮小する動きもみられる。パナソニックHDの今回の判断は、情報発信の手段が広がる中で、国際展示会との関わり方を改めて選び直す事例となった。
