アンソロピックと医療情報企業が提携、中低所得国約100カ国の医師に医療AIを無償提供

槇原 直央
经过

中低所得国の医師を対象に医療AIの国際展開を発表

米人工知能(AI)開発企業アンソロピックと医療情報プラットフォームのオープンエビデンスは、9月22日、中低所得国の医師に臨床判断を支援するAIツールを無料で提供する提携を発表した。

対象は約100カ国に及び、医学文献や専門的な知識へのアクセスが十分ではない地域を中心にサービスを広げる。今回の協力では、医療分野にAI技術を提供する企業と、医師向けの情報サービスを運営する企業がそれぞれの役割を担う。

必要な医学情報を診療の場で参照できるようにし、医師による判断と継続的な学習を支えることが取り組みの目的となる。医学研究の検索や治療方針の検討に役立つ情報を医師へ届けることが、サービス拡大の中心となる。

アフリカやアジアなど約100カ国へ利用対象を拡大

新たな提供先には、アフリカのウガンダ、アンゴラ、スーダンのほか、カリブ海地域のハイチ、アジアのモンゴルなどが含まれる。

対象となるのは、中低所得国のうち、医学研究や治療に関する資料を入手しにくい環境にある医療従事者だ。提供先として挙げられた国は複数の地域にまたがっており、特定の国や大陸だけに限定した計画ではない。

オープンエビデンスのサービスは、これまで米国と欧州の臨床医が無料で利用できる仕組みだった。今回の発表によって無償提供の対象地域が大幅に広がり、従来の提供範囲外にいた医師も支援の対象となる。

両社は医療基盤が十分に整っていない地域を重視し、国や地域ごとの事情を踏まえて展開する。

医学研究と治療ガイドラインを基に質問への回答を提供

オープンエビデンスが展開するのは、査読を経た医学研究や治療ガイドラインを基に、医師の質問へその場で回答する情報サービスだ。臨床の現場で生じる疑問に対し、医学的な資料を参照するための手段を提供する。

医師が新しい医学知識に触れる機会の少ない地域では、日々の診療に加えて継続的な医学教育へのアクセスも課題となっている。

今回の提携では医療従事者向けのサービスを無料で提供し、情報収集と学習の両面を支援する。医師が質問への回答を得る仕組みを通じ、関連する医学文献を調べる際の負担軽減も目指す。

AIは臨床上の意思決定に必要な情報を得るための支援ツールとして位置づけられており、医学的な知識を入手する機会の拡大が取り組みの柱となる。

技術基盤と地域別調整を分担する両社の提供体制

サービスを支える技術基盤はアンソロピックが提供し、オープンエビデンスは各地域の医療インフラに応じたシステムの調整を担当する。

AI技術の提供と医療現場での利用に向けた最適化を分けることで、異なる環境に対応する方針だ。国や地域によって医療機関の設備や利用環境が異なることから、現地の状況を踏まえた調整を進める。

アンソロピックが開発技術を提供し、オープンエビデンスが医療情報サービスとしての展開を担う形で、両社の専門領域を組み合わせる。

両社は今回の協力関係を公表した一方、契約金額などの金銭的な条件については明らかにしていない。国ごとの利用開始時期についても、発表内容では具体的に示されていない。

通信環境や医療機関の設備が普及の重要な条件に

中低所得国では、医師1人が担当する患者が多く、最新の医学知識を継続的に得る機会も限られている。

医療情報を無料で利用できる仕組みは、こうした環境にある医師が診断や治療方針を検討する際の資料へのアクセスを広げる。医療機関の設備や教育環境による情報格差への対応も、今回の提携が掲げる目的の1つだ。

一方、サービスの利用には、インターネットへの接続環境や医療機関のデジタル化の状況が関わる。無償提供の対象国が増えることと、各地の診療現場で実際に利用できることは区別する必要がある。

今回の提携は医療情報への接点を約100カ国に広げる計画であり、地域のインフラに応じた調整が今後の展開に組み込まれている。

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