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改正下請法の施行で問われる価格転嫁の到達点

法改正が示す賃上げ支援の方向性 改正法は、中小企業の賃上げを阻んできた取引構造の是正を目的としている。価格転嫁を制度的に後押しし、コスト上昇を正当に反映できる環境整備が進められた。約20年ぶりの大幅な見直しとなった。 交渉義務化で変わる取引慣行 新制度では、価格協議を行わない取引慣行を改めることが求められる。交渉を理由に不利益を受ける不安を軽減し、協議の正当性を担保する。取引条件の形成過程が明確になる点が特徴だ。 数値で見る価格転嫁の現状 中小企業庁の調査では、コスト上昇分を反映できた割合は53.5%と過去最高を記録した。一方、全く転嫁できていない企業の比率は大きく改善していない。制度改正による底上げが期待されている。 適用拡大と残された対象外領域 改正法は適用範囲を広げたが、零細企業は引き続き対象外とされた。多段階取引が一般的な業界では、制度の効果が限定的になる可能性がある。構造的な課題が浮き彫りとなっている。 通過点と位置付ける行政の見解 公正取引委員会の幹部は、今回の改正を最終形ではなく通過点と位置付けている。日本経済全体で価格転嫁を定着させるため、環境整備を継続する姿勢を示した。制度運用の積み重ねが今後問われる。

公取委、AI検索と報道利用の実態把握へ本格調査開始

AI検索サービスを巡る調査開始の背景 公正取引委員会は、生成AIを用いた検索サービスが報道コンテンツをどのように扱っているかを把握するため、実態調査に着手した。背景には、AI事業者がニュース記事を許諾なく要約や回答生成に用いているとの指摘が相次いでいる状況がある。報道機関側では、こうした利用が自社ビジネスに不利益をもたらすとの懸念が強まっていた。 調査対象となる国内外の主要事業者 今回の調査では、国内企業に加え、米国を拠点とするIT大手や新興AI企業も対象に含まれる。検索機能に生成AIを組み込む事業者だけでなく、対話型AIサービスを提供する企業も想定されている。公取委は事業者への聞き取りを通じ、具体的な運用実態や契約関係を確認する方針を示している。 独占禁止法上の論点と問題意識 公取委は、報道機関の許可を得ずに記事内容を利用する行為が、独占禁止法で禁じる優越的地位の乱用や競争を妨げる行為に該当するかを検討する。特に、巨大IT企業が交渉力の差を背景に不利な条件を押し付けていないかが焦点となる。過去にもニュースメディアとIT事業者の取引慣行が問題視された経緯がある。 AI回答が報道ビジネスに与える影響 生成AIによる要約回答は、利用者が元のニュースサイトを訪れずに情報を得られる点が特徴とされる。その結果、報道機関の閲覧数が減少し、広告収入などの収益構造に影響を及ぼす可能性が指摘されている。公取委は、こうした市場構造の変化が競争環境にどのような影響を与えるかを慎重に分析する。 調査結果公表と今後の対応方針 公取委は、調査を踏まえて報告書を取りまとめ、必要に応じて取引慣行の是正につながる提言を行う考えを示している。生成AIの普及が進む中で、報道コンテンツの保護と技術革新の両立が課題となっており、今回の調査は今後の制度設計にも影響を与える可能性がある。