大都市制度を巡る論点が再び表面化 日本維新の会が提起する副首都構想を背景に、大都市の統治制度そのものを見直す動きが広がっている。焦点となっているのが、政令市に強い権限を付与し、道府県から独立させる特別市制度である。戦後直後に構想されながら短期間で姿を消した制度が、再び政策課題として浮上している。 国民民主が打ち出す特別市法制化構想 国民民主党は、特別市を副首都構想の前提条件と位置付け、制度化に向けた法案提出を準備している。対象は人口150万人以上、または周辺自治体を含めて同規模となる政令市とされている。住民投票や国会承認を経て設置する仕組みとし、行政の迅速化と効率化を狙う。 大阪都構想との制度設計の違い 維新が進める大阪都構想は、大阪市を廃止し複数の特別区に再編する点に特徴がある。広域行政を府に集約することで二重行政の解消を目指すが、権限を集中させる主体は道府県側となる。これに対し、特別市は市に権限と財源を集中させる仕組みであり、方向性は対照的である。 幻に終わった制度が抱えた歴史的課題 特別市制度は1947年の地方自治法に盛り込まれ、大都市に府県並みの権限を与える構想だった。しかし、財政運営の困難さを理由に府県側が強く反発し、1956年の法改正で削除された。結果として現在の政令市制度が整備されたが、権限と財源の不均衡は解消されていない。 制度選択が問われる大都市の将来像 政令市長らは、業務量に見合う財源確保の必要性を訴え、特別市制度の早期法制化を国に求めている。一方、政府内には道府県への影響を慎重に見極めるべきだとの声もある。副首都構想を巡る議論は、大都市と道府県の役割分担をどう再定義するかという根本問題を突き付けている。
政策合意に「副首都構想」を明記 自民党と日本維新の会が20日に締結した連立政権樹立の合意書に、維新が掲げる「副首都構想」の法制化が明記された。構想は、東京一極集中の是正と大規模災害への備えを目的とし、中央省庁の代替機能を持つ都市圏を整備することを狙いとしている。両党は、来年の通常国会で関連法案の成立を目指す。 大阪市再編を前提とする制度設計 副首都構想は、道府県が申請すれば国が指定し、規制緩和や税制優遇などの特例措置を受けられる仕組みを骨子としている。指定を受ける条件の一つには「特別区の設置」が含まれており、大阪府が申請する場合には、大阪市を廃止して複数の特別区に再編することが前提となる。維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は「大阪には都構想が必要だ」と強調しており、3度目の住民投票実施の可能性が現実味を帯びてきた。 財源確保に7.5兆円の試算 一方で、構想の実現には巨額の財源が求められる。野村総合研究所の試算によれば、行政機能の一部を東京から移転するだけでも約7.5兆円が必要とされる。これは消費税3%分に相当し、2025年度の国の消費税収(約24.9兆円)を基準に換算したものだ。財源確保を巡っては、物価高対策を優先課題とする新政権との整合性が問われることになる。 経済界に波及する期待と懸念 市場では副首都構想を材料に、大阪関連銘柄が軒並み上昇した。20日の東京株式市場では、阪急阪神ホールディングスが年初来高値を更新し、関西地盤の建設業・浅沼組や池田泉州ホールディングスの株価も上昇した。一方で、首都機能の移転が大阪の不動産価格を押し上げ、過度な集中を招く懸念も専門家から指摘されている。野村総研の木内登英エコノミストは「費用対効果の検討が欠かせない」と述べた。 政権運営の試金石に 副首都構想の法制化は、維新にとって結党以来の悲願である。自民党にとっては、連立相手の要求に応じながらも、財政健全化や物価対策との両立を図る難題となる。政策協調の成否は、新内閣の発足直後から問われることになる見通しだ。
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