郵便局を拠点とした小売実験 郵便局を生活支援の拠点として活用する動きが具体化した。日本郵便は、コンビニ商品を局内で販売する実証事業を開始し、地域密着型の小売連携に踏み出した。郵便・金融に続く新たな役割として、日常消費の補完を目指す。 関東5県37局が対象 実証の舞台となるのは、関東5県に所在する37の郵便局である。いずれも地域住民の利用頻度が高い拠点で、立地特性を生かした展開となる。利用者の反応や運営状況を確認しながら、段階的な拡張を検討する。 約70種類の商品構成 取り扱う商品は、食品や飲料を中心に約70種類とされる。局内に設けた陳列スペースと冷蔵設備により、コンパクトながらも日常利用を意識した品ぞろえを実現した。郵便局員が在庫管理を担い、継続的な供給を確保する。 決済方法の限定と運営体制 支払いはキャッシュレスに限定され、運営の簡素化が図られている。現金を扱わないことで、管理コストや作業負担を抑える狙いがある。既存業務との両立を前提とした体制が組まれている点も特徴だ。 生活支援事業拡大への位置付け この取り組みは、郵政グループが進める生活支援事業の一環に位置付けられる。過疎地を含む全国規模の郵便局網を生かし、買い物支援を面的に広げることで、安定した収益確保と地域貢献の両立を目指す。実証結果は今後の事業展開に反映される見通しである。
公共交通向け自動運転事業の再編が始動 NTTは2025年12月、公共交通分野に特化した自動運転支援会社「NTTモビリティ」を発足させた。路線バスやオンデマンドバス、ロボットタクシーなど、事業者が運営する交通サービスを主な対象とする。従来、NTT東日本、西日本、NTTドコモビジネスなどが個別に担ってきた自動運転関連の取り組みを集約し、事業基盤を一本化した。バス運転手不足が深刻化する中、地域公共交通の維持を支える役割を担う。 導入から運行までを担う統合モデル 自治体が自動運転車両を導入するには、地域公共交通会議での調整やルート設計、車両・システム選定、実証実験など複数の工程が必要となる。NTTモビリティは、こうした一連の工程をまとめて支援する体制を整えた。車両調達、導入・運用支援、遠隔モニタリングを3本柱とし、運行開始後の監視や保守までを含めて提供する。これにより、自治体側の負担軽減を図る。 技術は外部連携、開発は行わない方針 同社は自動運転システムや車両を自社で開発しない点を明確にしている。米May Mobility、ティアフォー、Navyaなど複数のベンダーと連携し、地域条件や用途に応じて最適な技術を選定する。特定の技術に依存しないことで、急速に進化する自動運転分野に柔軟に対応する狙いがある。日本の道路環境への対応が必要な場合は、ベンダー側に改良を求める形を取る。 2028年度にレベル4体制を確立 NTTモビリティは2028年度までに、特定条件下で完全自動運転を行うレベル4のサービス体制を整える計画だ。まずは路線バスでの実装を進め、その後オンデマンド型やロボットタクシーへと範囲を広げる。遠隔モニタリングでは、AIを活用し1人のオペレーターが約10台を監視する運用を目指す。実証実験の知見を共通基盤に反映し、効率的な展開を図る。 1,000台規模を視野に全国展開を加速 2030年代には1,000台規模の自動運転車両の運行支援と、数百億円規模の収益確保を目標に掲げる。国土交通省が掲げる2030年度のレベル4車両1万台という目標の中で、一定のシェア獲得を目指す構えだ。NTTグループが過去に実施した35件以上の実証成果を生かし、全国展開を本格化させる。
実証計画の全体像が判明 大手運送会社4社と東京海上ホールディングスは、企業間で運転手が入れ替わる方式を導入する中継輸送の実証実験を2025年2月から開始すると発表した。従来の長距離運行では、運転手が数百キロ単位での連続運転を担うことが多く、負担の大きさが問題となっていた。今回の実証により、運転手が自社拠点に当日中に戻る運行形態を整えることで、労働環境改善につなげる狙いが明確になった。深刻化する人手不足に対応するため、各社が協力して効果検証に乗り出す。 参加企業間の協力体制が発表 今回の取り組みには、西濃運輸、福山通運、名鉄NX運輸、トナミ運輸の4社が参加する。加えて東京海上ホールディングスが制度面とリスク管理を担当し、実験全体を支える枠組みを構築した。実証に先立ち、企業間での運行情報の共有や交代地点の調整が行われ、運行の安全性を確保するための準備作業が進められた。別会社の車両を扱う場面も想定されるため、運転手教育や運行管理の手順も整理されている。こうした共同体制が、中継輸送の実用化を見据えた枠組みとなる。 実験ルートと運行方式の詳細が発表 実証は2ルートで実施される。西濃運輸と福山通運のペアは、神奈川県藤沢市・厚木市と大阪府堺市を結ぶ区間で運行し、双方の運転手が浜松市の拠点で車両を交換する。もう一つのルートでは、名鉄NX運輸とトナミ運輸が東京都江戸川区と大阪府東大阪市を結び、同じく中継地点で交代して残りの区間を運行する方式が採用される。期間はいずれも2か月間で、運行データの収集を重ねながら効果を測定する。運転距離や負担の比較など、多角的な評価が想定されている。 リスク管理体制の整理が進展 企業間で車両を交換して運転する以上、事故発生時の責任範囲を明確化することは不可欠となる。東京海上ホールディングスは参画企業の運行時間やルート情報を基にリスク分析を実施し、事故時の対応や責任分担の整理を進めた。こうした分析により、企業側の懸念を抑える仕組みが整えられる。運行管理や保険制度の構築を含め、実用化に向けた制度的課題の検討が本格化している。業界全体の安全確保に向けた基盤作りが重要な位置付けとなる。 労働環境改善への影響が注目 物流業界では、2024年4月に施行された時間外労働の上限規制により、人手不足の加速が懸念されてきた。長距離輸送が多い事業者にとって、中継輸送は労働時間の適正化と雇用確保の双方に有効とされる。運転手が自社拠点へ日帰りできる形となれば、生活リズムの改善や離職抑制にもつながる見通しが示される。今回の実証実験が成功すれば、他の事業者にも仕組みが広がる可能性があり、物流全体の持続性に影響を与える取り組みとなる。
タッチ決済導入拡大による利用促進策が判明 南海電気鉄道は、タッチ決済による乗車額を1日2200円までに抑える制度を期間限定で導入する方針を明らかにした。実施期間は2025年12月1日から2026年3月31日までとされ、国内外の乗客が幅広く利用できる仕組みとなる。予約や追加登録は不要で、交通系ICを持たない利用者にも使い勝手の良い環境が整備される。南海電鉄ではタッチ決済の利用が年々増加し、今回の取り組みはさらに利便性を高める狙いがある。 対象駅拡大で高野線の乗車環境が向上した影響 今回の制度導入にあわせ、高野線の下古沢から極楽橋の区間にもタッチ決済対応機器が設置される。これにより、全105駅のうち汐見橋線と多奈川線の計8駅を除くほぼすべての駅でタッチ決済が可能となる。高野山ケーブルにも対応することで、世界遺産・高野山を訪れる観光客にとって移動がより容易となった。駅設備の拡充が継続的に行われており、多様な乗客の利用行動に対応した環境整備が進められている。 上限設定により特定区間の運賃負担が軽減される状況 新たな制度により、難波駅から高野山駅を結ぶ往復運賃は通常2860円だが、上限設定後は660円分が割り引かれる。実験の対象は大人運賃で、特急料金は別途支払いが必要とされるものの、長距離移動の負担が軽くなる点が注目される。高野山への移動は訪日観光客の需要が高く、今回の取り組みは複数路線を利用する乗客にメリットをもたらす仕組みとなっている。 フェリー連携実績が示す決済改革の継続性が判明 南海電鉄は2021年に「stera transit」を大手私鉄で初めて導入し、徳島港と和歌山港を結ぶフェリーでも同様の決済対応を進めてきた。2022年からはフェリーと鉄道を乗り継ぐ乗客向けの無料サービスも開始し、決済方式の統合が利用者の移動効率を高めてきた。今回の取り組みは、その延長線上に位置するものといえ、交通ネットワーク全体でタッチ決済の活用が広がりつつある。 利便性向上策が観光需要を支える見通しが示された 上限運賃の導入は観光客の増加が見込まれる年末年始に合わせたもので、訪日客の移動行動を後押しする施策として位置づけられる。決済手段の多様化により、交通機関の利用ハードルは低くなり、南海電鉄が目指す利用促進にも寄与するとみられる。整備された決済環境が広範な乗客層の利便性向上につながり、鉄道事業全体のサービス向上にも反映される。
デジタル通貨時代への動きが本格化 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが、円などの法定通貨に連動するステーブルコインの共同発行に向けて動き出した。複数の関係者によると、今後数週間以内に実証実験を開始する見通しで、国内金融機関の連携によって新たなデジタル決済インフラの構築を目指す。 法定通貨連動の安定資産を基盤に ステーブルコインは、円やドルなどの法定通貨と1対1で価値を維持する設計を持つ。裏付けとして銀行預金や国債などを保有するため、価格変動の大きい暗号資産とは異なり安定性が高い。これにより、国内外の資金決済や送金において安全かつ迅速な取引が可能となる。 プログマの技術で共同基盤を構築 3メガバンクは、デジタル資産の取引基盤を提供するプログマ社のシステムを利用する方針を固めている。共通規格を採用することで、各行間での送金や企業間取引を円滑化させる狙いだ。ブロックチェーン技術により、改ざんリスクを最小化しつつ即時決済を実現する体制を整える。 三菱商事が社内決済での実用化を検討 三菱商事もプロジェクトに加わり、自社の資金決済プロセスでステーブルコインを試験的に導入する計画を進めている。関係者によると、社内送金や海外取引の効率化が主な目的であり、決済時間の短縮や為替リスク低減などの効果が期待されている。 金融業界全体での普及を見据える動き 今回の取り組みは、単一行による発行ではなく、大手銀行が共通基盤の整備を主導する点で画期的とされる。今後は地方銀行や他の金融機関への参加も視野に入れており、日本国内でのデジタル通貨エコシステムの形成が加速する可能性がある。
次世代技術を生活空間で検証開始が判明 トヨタ自動車は静岡県裾野市で進めていた実証都市「ウーブン・シティ」の第1期区域を25日に始動した。旧東富士工場跡地を活用した敷地約4万7,000平方メートルには住居や研究施設が整備され、まず約300人が入居する。街全体を試験場とすることで、自動運転や物流、自律型モビリティなどの最新技術を住民の生活と直結させながら開発を進めることが狙いだ。 異業種連携による実証実験開始を発表 参画するのはトヨタグループ12社に加え、ダイキン工業や日清食品、UCCジャパンなど外部企業7社を含む計19社。自動運転EV「イーパレット」の運行や自律搬送ロボットの導入、歩行者信号の自動制御などが計画されている。さらに日清食品は最適化された食事の提供、ダイキンは花粉のない空間の実証を進め、教育やカフェ運営など多分野で実験が行われる。 豊田会長が強調した「掛け算」の意義 25日の式典で豊田章男会長は「ウーブン・シティで起こすのは掛け算だ」と述べ、各社の知見を組み合わせることで新たな価値が創出されると強調した。プロジェクト責任者である息子の豊田大輔氏も入居者として参加し、失敗を重ねながらもデータを集め、開発を加速させる考えを示した。 居住者拡大と一般参加の計画が判明 現在の入居者は当初予定の360人から減り約300人となったが、今後は2,000人規模に拡大する見通し。2026年度以降には一般の来訪者も受け入れられる予定で、都市全体を活用した新ビジネスやサービスの展開が期待されている。 創業の精神を受け継ぐ都市構想の影響 「ウーブン」という名称はトヨタグループ創始者の豊田佐吉氏が発明した自動織機に由来する。5年前に構想が公表されたこの都市は、自動車産業を超えた多分野の実証拠点として動き出した。街全体が「未来社会の試験場」として世界から注目を集めている。
Sign in to your account