欧州デジタル政策への異例の対応 米国政府は、EUのインターネット規制に関与した人物に対し、入国制限を含む措置を講じた。対象には、EUでデジタル政策を主導したティエリ・ブルトン前欧州委員が含まれている。米側は、欧州の規制が米国人の表現活動に影響を与えていると問題視している。 具体例として挙げられた経緯 米政府は、ブルトン氏が2024年にイーロン・マスク氏に対し、EU法を根拠に偽情報対策を求めた行動を重く見たと説明した。また、EUが今月、Xに対して高額な制裁金を科したことも、規制の象徴的事例として挙げられている。 制裁対象に含まれた団体関係者 今回の措置では、ブルトン氏のほか、欧州を拠点に偽情報やヘイトスピーチ対策に取り組む団体の代表者4人も対象となった。米国務省は、これらの活動が結果的に米国人の発信を制限していると判断したとしている。対象者の詳細は公表されたが、具体的な制裁期間などは明らかにされていない。 欧州側が示す強い反発 制裁を受けた団体は、今回の対応を政府権力による抑圧だと非難した。欧州側は、デジタル規制は差別的表現や過激主義への対策であり、検閲とは異なると主張している。EU当局も、規制の目的は情報の透明性確保にあるとの立場を崩していない。 規制と自由を巡る溝の拡大 今回の入国制限は、デジタル空間における統治の在り方を巡る米欧の隔たりを浮き彫りにした。米国は表現の自由を重視する姿勢を前面に出し、EUは利用者保護を重視している。双方の主張が交わる接点を見いだせるかが、今後の国際的な課題となっている。
外交官標的の手口が国際社会に波紋広げる 米国務省の発表によると、AIを悪用してルビオ国務長官の声を模倣した音声メッセージが外国の外相3人および米当局者2人に送られていた。これらはすべて暗号化通信が可能なアプリ「シグナル」を通じて行われ、音声だけでなくテキストでも接触が試みられていた。関係当局は、なりすましの意図が何であったかを含め、事案の詳細を調査している。 AI音声とテキストが情報収集手段に悪用か 関係筋が確認した外交公電では、AIで作成された音声や文面を利用し、標的となった人物から情報やアカウントへのアクセスを得ようとしたとみられる。特に、音声による信頼の獲得が意図されていた可能性が高く、従来のフィッシング攻撃に比べ、高度で精巧な手法として警戒感が広がっている。標的の一部は州知事や米議員も含まれていた。 直接的な被害確認はないが潜在的リスクも 今回の事案では、現時点で不正アクセスなどの直接的な被害は報告されていない。しかし、外交文書では「対象人物が信じて返信した場合、意図せず機密情報が第三者に流出するリスクがある」と警告されている。国際的な影響が出る恐れもあり、各国の対応が注目されている。 国務省とFBIが調査を進行中 米国務省のブルース報道官は8日の記者会見で、報道内容を正式に認めた上で「情報の保護は極めて重要な任務であり、サイバーセキュリティ体制の見直しと強化を継続する」と述べた。加えて、米連邦捜査局(FBI)も5月に同様のAIを利用した詐欺行為の警告を発しており、今回の事案との関連性も含めて捜査が行われている。 AIなりすまし事案が相次ぎ対策が急務に 今年5月には、ワイルズ大統領首席補佐官を装うAI音声が上院議員に発信されたと報じられており、今回の事件と類似している。さらに、過去にはロシアに関係するハッカーが国務省職員になりすまし、東欧の活動家や元外交官に対しフィッシング攻撃を行っていた事例も確認されている。AIの進化により、従来の認証手段が機能しなくなる懸念も浮上している。
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