今国会の判断経緯を整理 高市早苗首相と日本維新の会の吉村洋文代表は12月16日、国会内で会談し、衆院議員定数削減法案について今国会での成立を見送る方針を確認した。会期末が17日に迫る中、審議日程の確保が困難と判断された。両党は、法案を廃案とせず、次の通常国会での成立を目指すことで一致した。 協議会での議論を軸に対応 定数削減は、与野党各会派が参加する衆院選挙制度に関する協議会で検討されている。法案では、選挙制度全体の在り方と併せて結論を得ることが明記されている。首相は、2026年に公表される国勢調査の結果も踏まえ、協議会の議論を通じて成案を取りまとめる考えを示した。 自維間の立場と調整 維新はこれまで、定数削減が実現しなければ連立関係を見直す可能性にも言及してきた。吉村代表は会談後、審議自体が行われない状況では成立は不可能だと説明し、今回の判断は現実的対応との認識を示した。自民側も、通常国会での合意形成に注力する姿勢を強調した。 補正予算成立との同時進行 同日、政府の総合経済対策を裏付ける令和7年度補正予算が参院本会議で可決、成立した。一般会計の歳出規模は18兆3034億円に上り、新型コロナウイルス禍後で最大となった。定数削減の見送り判断は、国会運営全体を見据えた判断とも位置付けられる。 通常国会での実現に向けた課題 今後は、協議会での議論の進展と、与野党間の合意形成が焦点となる。両党は、通常国会で確実に結論を得ることを共通目標として掲げている。定数削減を巡る議論は、国会改革全体の方向性を占うテーマとして引き続き注目される。
国際通信支える装備を報道陣に公開 NTTワールドエンジニアリングマリンは12月11日、横浜港に寄港した海底ケーブル敷設船「SUBARU」を報道関係者に公開した。海底ケーブルは国際通信量のほぼ全体を担い、日本の通信基盤を維持する要となる。船内では敷設装置や浅海域での埋設に用いられる機器が披露され、運用現場の実態が示された。重要インフラとして注目が高まる中、同社は海底敷設の工程や保守体制を丁寧に説明し、通信需要が増す状況に対応する姿勢を示した。 大型敷設船の特徴と作業体制が明らかに SUBARUは全長124メートル、総トン数9557トンの大型船で、これまでに国内外で約5万1000キロのケーブル敷設に関わってきた。同社は3隻の敷設船を運用し、故障修理にも対応する体制を整えている。浅い海域では投錨や漁業活動による損傷を防ぐため、ケーブルを海底下に埋め込む作業が不可欠となる。公開されたロボットは溝を掘りながら埋設を進める仕組みで、海底環境に応じた調整が求められる。船員は6時間交代で作業を行い、張力管理を含む緻密な操作が必要となる。 新型敷設船建造の検討が進む背景 公開と同時に、同社がSUBARU級の新型敷設船の建造を検討していることも明らかになった。SUBARUは1999年建造で老朽化が進んでおり、海底ケーブルの需要増や保守案件の増加に対応するには新たな能力が必要とされる。世界では約570本、総延長148万キロ以上の海底ケーブルが利用され、動画視聴やAI普及に伴う通信量急増が続く。国内通信を支える企業が自社運用能力を確保することは、経済安全保障の強化にも直結する。 官民連携で強まる供給体制の再構築 海底ケーブルは国際連携を支える基盤であり、切断や損傷は経済活動に直結する。日本政府はルート多重化や保守網の強化を進め、敷設船確保を支援する姿勢を示した。令和7年度補正予算案には海底ケーブル防護策の調査費として3億円を計上し、国内事業者の体制強化を後押しする。世界的には中国企業を含む競争が激化し、欧州ではフランス政府が大手ケーブル企業の株式取得に動くなど、国家的な関与が進んでいる。 重要インフラとしての位置づけが一段と強まる 日本の国際通信の99%は海底ケーブルに依存しており、安定運用は不可欠だ。技術競争と需要拡大が進む中、敷設能力の維持と更新は長期的な課題となる。NTTグループは今後も保守や敷設の実績を生かし、国内外の需要に応える方針だ。公開された設備と説明は、国際通信を支える基盤が高度な技術と継続的な投資によって支えられている現状を示すものとなった。
経済運営の転換点を示した方針 政府は12月9日、2026年度予算編成に向けた基本方針を閣議で正式に了承した。今回の方針は、国内経済がこれまでの停滞局面を脱し、物価と賃金が同時に上昇する局面へ移りつつあるとの認識を示した点が特徴である。政府はこの変化を新たな成長段階への移行と位置づけ、財政運営の方向性を再構築する必要があると強調した。経済環境の改善を背景に、財政構造を従来型から成長軸に対応した形へ改める姿勢が明確になった。 成長に資する支出の重点化を進める方針 方針では、経済成長への寄与が見込まれる分野に対し、支出と税制の両面で重点的に資源を配分する姿勢が示された。研究開発、生産性向上、設備投資を促すための制度を厚くする一方、成果が十分に確認できない政策については縮減を検討すると記した。歳出と歳入を同時に見直すことで、財政全体の構造転換を図る意図が読み取れる。政府は支出の質を高めることで経済拡大と財政改善の両立を目指す立場を示した。 債務抑制と財政健全化を同時に図る姿勢 今回の基本方針では、債務残高の管理についても明確な方向性が示された。政府は経済成長率の範囲内に公的債務の増加を抑え、国内総生産比での債務水準を引き下げる目標を掲げた。市場の信頼を確保するために、財政運営の透明性と持続性を維持する必要があるとし、拡張的な財政措置と健全性確保を両立させるとした。財政余力を確保することが、長期的な経済安定につながるとの考え方が示されている。 社会保障制度改革と補正予算の課題認識 社会保障に関しては、現役世代が負担する保険料率の上昇を抑制する重要性が示された。制度の持続性を確保するため、保険料負担の軽減と並行して仕組みそのものの再構築を進めるとした。また、近年規模が拡大している補正予算についても課題視し、平時にふさわしい歳出構造を回復させる必要があると記した。政府は予算のあり方を検討する場を設け、財政運営全体の見直しに着手する方針である。 年内決定に向け作業を加速する見通し 政府は今回示した方針を基礎に、2026年度予算案の作成作業を本格化させる。年内の取りまとめを目指すとしており、財政規律と経済成長をいかに両立させるかが焦点となる。成長型経済への移行を支える財政のあり方が問われるなか、歳出の精査と制度改革の実行が今後の政策課題として浮上している。政府は国内外の経済環境を踏まえ、政策効果を重視した編成を進める構えである。
物価上昇に対応する新たな措置が始動 政府は2025年11月21日、総額21.3兆円規模にのぼる経済対策を正式にまとめた。物価上昇が続く状況を受け、世帯への負担軽減策を中心に据えた内容となっている。子ども1人につき2万円を給付するほか、電気やガス料金の補助を1~3月分として盛り込み、家計支援を幅広く行う計画が示された。 家計向け給付と公共料金補助が判明 今回の対策では、国内在住の0歳から高校生年代までの子どもに対して2万円を給付する措置が打ち出された。既存の児童手当の仕組みを利用するため、自治体による手続きが迅速に進む見通しとされる。また、一般家庭を対象に電気・ガス料金の負担を合計7千円程度引き下げる制度を設定し、冬場のエネルギーコスト上昇による影響を抑える仕組みを設けた。食料品価格の高止まりに備え、自治体が発行するおこめ券や電子クーポンの活用も促すとしている。 経済対策の柱と財政規模が発表 政府は対策全体を3分野に分類している。まず、物価高への対応は減税と合わせて約11.7兆円とし、家計の負担減を優先する姿勢を明確にした。次に、防衛費増額など危機対応や成長領域への支援として7.2兆円を計上し、半導体や造船といった産業の強化も盛り込んだ。さらに、防衛力向上のため約1.7兆円を充て、国内総生産比2%を目指した体制整備を進める。 対策規模は、新型コロナウイルス禍後では最大とされる。一般会計の歳出は17.7兆円で、前年度の13.9兆円を上回る水準となった。加えて、特別会計では9千億円程度の支出を見込んでいる。 財源確保と補正予算案の審議が進展 今回の経済対策を裏付ける補正予算案では、一般会計の歳出が17.7兆円とされ、前年度の13.9兆円を大きく上回る規模となった。特別会計では9千億円が見込まれ、政府の財政支出は広範囲に及ぶ。 財源については、国債の追加発行と税収増が組み合わされる見通しである。高市首相は対策決定後の記者団への説明で、当初予算と補正予算を合わせた国債発行額が前年度より少なくなるとの認識を示し、財政運営の持続性に配慮する姿勢を明らかにした。予備費については7千億円が追加され、突発的な事態への備えが強化される。 また、ガソリン税の旧暫定税率の廃止や所得税の課税最低ラインの引き上げによる減税効果は、合わせて2.7兆円程度になるとされている。これらの措置は、家計の可処分所得の向上を図る施策として対策全体に組み込まれている。 今後の政策運用に与える影響 今回の経済対策は、家計支援と産業投資、防衛力強化を同時に進める点が特徴となっている。特に、物価高が続く状況に対し、子育て世帯や一般家庭への直接的な支援を拡充したことは、政府の重点政策である物価対策の位置づけを改めて示すものとなった。今後、国会審議や自治体での実施準備が進むことで、各施策の効果がどのように表れるかが注目される。
家庭向け支援額を拡大する方針が示された背景 政府は2026年1~3月に予定している電気・ガス料金補助を当初案から引き上げ、1月分は平均的な家庭で3000円超とする方向に傾いた。従来想定されていた月2000円規模では負担軽減が不十分と判断し、冬の需要期に合わせて補助を厚くする構えを固めた。家計の負担圧縮を求める声が与党内で強まっていたことも影響し、対応の再検討が急速に進んだ。 補助額拡大の調整過程と月別の支援見通し 関係者によると、当初は1~3月の総額を約6000円で想定していたが、1月の増額に加えて2月分の追加措置案も浮上している。寒さが厳しくエネルギー使用量が増える時期に重点を置き、早期に実効性ある対策を届ける考えがある。3月は季節要因を踏まえ縮小の方向で詰められており、月別の強弱をつけた支援策となる見通しだ。 財源規模の拡大と経済対策への反映が進む 政府は総合経済対策に今回の補助措置を盛り込む方針で、21日にも閣議決定する方向で最終調整を進めている。裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計歳出規模は、前年度の13.9兆円を上回る可能性が高い。物価高に対する緊急的な対処を優先した構成が特徴となり、電気・ガス支援はその中心に位置付けられる。 過去の補助実績と今回措置の位置付けが示す課題 政府は2025年7~9月にも電気・ガス料金の補助を実施し、家庭の使用量が最も高かった8月には1260円、7月と9月には1040円を充当した実績がある。これに先立つ2023年から、エネルギー価格の高騰を受けた一連の補助が段階的に続けられてきた。段階的縮小と再開を繰り返す形で支援が続き、制度運用の難しさが浮かび上がっている。 累計規模5兆円超となる補助の継続と動向が注目される これまでの累計予算は約4兆5688億円に達しており、今回の追加措置により総額は5兆円規模へ膨らむ見通しだ。エネルギー情勢の不安定さが続く中、負担緩和を重視する政府方針は次期冬場に向けた重要な施策となる。補助の運用と規模のあり方が今後の焦点となり、支援策の調整は継続する流れが見込まれる。
経済指標注視し「脱却」時期を慎重判断 高市早苗首相は11日の衆院予算委員会で、デフレ脱却宣言の発出を目指す方針を明らかにした。物価が持続的に下落する状況を完全に脱したとは言えないとの認識を示し、「物価は上昇を続けているが、脱却とは断定できない」と述べた。宣言の判断にあたっては、物価動向や賃金上昇の持続性を総合的に考慮する方針を示した。 内閣と日銀の連携強化を表明 高市首相は、経済情勢の認識を巡って日本銀行との意見のずれを指摘されたことに対し、「内閣と日銀でしっかりコミュニケーションを取り、整合性を確保する」と答弁した。金融政策と財政政策の調和を重視し、「経済政策全体への責任は内閣が負う」と強調した。 物価高対策に重点 補正予算規模に言及 政府が策定を進める2025年度補正予算案について、首相は「国民生活を少しでも楽にするという意味から、それなりの規模を想定している」と述べ、物価高を踏まえた支援策を盛り込む考えを示した。高市政権は年末の取りまとめを目指し、生活支援と成長投資を両立させる方針だ。 公明党提案に「消費税ゼロ化」意欲示す 公明党の岡本三成政調会長が提案した政府系ファンド構想に対し、首相は「恒久財源として年5兆円規模が生まれるなら、食料品への消費税をゼロにしたい」と述べた。財源の活用について具体的な施策に言及した形で、物価高対策を最重要課題に据える姿勢を明確にした。 政治資金問題と買春処罰強化にも言及 一方、自民党派閥の政治資金問題については「決着済みではない」として謝罪し、「政治への信頼を損ねた」と述べた。また、売買春の買春側の処罰については、平口法相に検討を指示。社会的課題への対応強化を進める意向を示した。
税収が史上初の75兆円台に達する見通し 2024年度の国の一般会計税収が過去最高の75兆円台に達することが判明した。これまでの最高額であった2023年度の72兆761億円を大幅に上回り、5年連続の増収となる見通しである。関係者によれば、財務省は近く正式に発表する予定だ。 景気回復と物価高が税収押し上げに寄与 背景には、企業の収益拡大や物価の上昇傾向がある。消費税収と法人税収がともに堅調に推移し、税収の増加に直結した。さらに、労働市場の逼迫を背景に賃上げが進んだことも、間接的に税収を押し上げる要因となった。物価と給与水準の上昇が並行して起こる状況下で、購買活動の活発化も一定の影響を与えた。 予想を超えた2兆円規模の上振れ 財務省が見込んでいた73兆4,350億円という税収額に対し、2024年度の実績は約2兆円多くなる見通しとなった。この規模の上振れは極めて異例であり、今後の予算措置や政策形成に大きな影響を及ぼす可能性がある。 政府・与党は物価高対策に充当の意向 自民党は、この上振れ分を物価高対策の財源として用いる構想を掲げている。エネルギーや食料品価格の高騰が続く中、国民の生活を支える直接的な支援に税収を活用する考えだ。具体的な使途は今後示されるが、すでに補正予算案の編成を巡る議論が始まっている。 野党は「国民への返還」を強く主張 一方で野党各党は、税収の大幅な上振れに対して、「過剰な徴収」であると批判を展開している。「取り過ぎた分は国民に還元すべき」との立場を強調し、所得減税や定額給付金の実施を訴えている。この論点は、2025年の参院選に向けた有権者の関心を集める争点の一つとなっており、今後の国会審議においても大きな議論を呼ぶとみられる。
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