AIインフラ投資を巡る戦略判断 ソフトバンクグループは、AI関連インフラへの投資拡大を目的に、米国の投資会社デジタルブリッジ・グループを買収する方針を明らかにした。対象は同社が発行する普通株式の全てで、企業価値は約40億ドルと算定されている。SBGは近年、AIを中核とした成長戦略を掲げており、インフラ領域の強化を重要な要素と位置付けている。 買収条件とスケジュールの概要 発表によると、株式は1株16ドルで取得される。手続きの完了時期は2026年後半を見込んでおり、規制対応などを経て正式に傘下に収める計画だ。今回の取引は、資本面だけでなく運用ノウハウの取り込みも視野に入れたものとされる。 データセンター投資を軸とする事業構造 デジタルブリッジは、データセンターや通信基地局などデジタル分野の基盤資産への投資を専門とする。2025年9月末時点の運用資産残高は約1080億ドルに達しており、世界各地でインフラ運用の実績を持つ。SBGはこうした資産と知見を、自社のAI関連投資と連携させる狙いだ。 AI分野への集中投資の流れ SBGは米OpenAIへの出資をはじめ、AIを軸とした投資を積極的に進めてきた。さらに2025年10月には、スイス重電大手ABBのロボット事業の買収を発表している。今回の買収も、こうした一連の動きの延長線上に位置付けられる。 次世代AI基盤構築への位置付け 孫正義会長兼社長は、次世代AIを支えるデータセンター基盤の重要性を強調している。デジタルブリッジの取得により、AIサービスに不可欠なインフラの整備を一段と進める考えだ。
グループ全体でAI導入を本格化へ 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は11月12日、米国のオープンAIと戦略的提携を結び、生成AI「ChatGPT」を活用した業務効率化と顧客サービスの拡充を図ると発表した。傘下の三菱UFJ銀行では、約3万5000人の行員が日常業務にAIを利用できる体制を整備し、業務改革を本格化させる。 行員3万5000人が日常業務で活用開始 MUFGは2024年度から2026年度にかけて、AIおよびデータ活用に600億円を投資する方針を示した。銀行の行員は来年1月以降、文書作成、分析、顧客対応などの業務でChatGPTを活用する予定で、業務の迅速化と質の向上を目指す。山本忠司執行役常務は「オープンAIとの連携により、顧客との接点を拡張する」と述べた。 顧客向けアプリ「エムット」にもAI機能搭載 MUFGが提供する総合金融アプリ「エムット」には、AIによる対話機能が追加される。利用者はChatGPTを通じて家計管理や資産運用に関するアドバイスを受けることができ、よりパーソナルな金融体験の提供を目指す。AIが取引データを分析し、顧客の資産状況に応じた助言を行う仕組みだ。 OpenAIと共同で新サービスを開発 オープンAIは金融分野でのAI活用を推進するため、MUFGと協力して新たなソリューション開発を進める。長崎忠雄オープンAIジャパン社長は「AIが人の可能性を最大化する未来を、日本から世界に発信したい」とコメントし、技術支援を約束した。両社はAI人材の育成にも共同で取り組む方針だ。 金融業界で広がる生成AIの波 今回の提携は、国内金融機関による生成AIの本格導入として注目されている。AI技術を活用した業務改革が進む中、MUFGの取り組みは他の銀行や保険会社にも波及するとみられる。グループ全体でのAI戦略の成果が、今後の金融サービスの競争力強化に直結するかが焦点となる。
日本市場での人員増強計画が明らかに ブルックフィールドは日本での再保険事業を強化する方針を示し、今後5年で日本法人の人員を20人以上に拡大する計画を打ち出した。現時点では日本法人には2名が在籍しており、事業拡大に合わせて段階的に増員を進める。サチン・シャーCEOは、日本市場が米国に次ぐ主要拠点となる可能性があるとし、長期的な投資基盤を整える意向を示した。 国内生命保険会社との提携協議が進展 同社は複数の国内生命保険会社とパートナーシップ構築に向けた協議を進めている。日本の保険市場は世界有数の規模を誇り、2024年3月末時点で契約高は892兆8920億円に達する。再保険分野はまだ発展途上にあり、海外勢にとって参入の余地が大きい分野として注目されている。 年間7350億円規模の契約獲得を目標 ブルックフィールドは年間30億~50億ドル(約4400億~7350億円)規模の再保険契約獲得を計画している。資産運用では、全体の50~60%を債券に配分し、残りを不動産およびインフラに投資する戦略を取る。不動産とインフラは30年以上の投資経験があり、安定した高い収益を生む分野と位置付けている。 海外投資会社による参入が相次ぐ状況 近年、日本の再保険市場には米投資ファンドKKRやアポロ・グローバル・マネジメント傘下の企業も参入している。これらの企業は保険契約を裏付けとした資金運用を進め、資産拡大を図っている。ブルックフィールドもこうした流れに加わり、市場での競争力強化を目指す。 投資運用戦略と市場見通しが示された シャーCEOはプライベート・クレジット分野について「過剰な参入によりリターンは低下している」と指摘。一方で、不動産やインフラは競争が比較的少なく、高い収益が期待できるとの見方を示した。今後も日本市場を成長の柱とし、再保険事業を積極的に展開していく姿勢が示された。
デジタルと実店舗の融合戦略を強調 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2026年度後半に新たなデジタルバンクを設立する計画を公表した。既存のインターネット銀行とは異なり、AIとビッグデータによる提案機能に加えて、実店舗での対面相談も可能な構想を描いている。リアルとデジタルの双方を活用した新たな金融モデルの実現を目指す。 ウェルスナビと連携し個別資産提案を強化 MUFGは、今年3月に完全子会社化したロボアドバイザー大手・ウェルスナビとの協業を通じて、精度の高い資産運用提案を可能とする。利用者ごとの投資スタイルに応じた対応を強化することで、個人顧客のニーズに合致したサービスを提供することが狙いだ。 スマートアプリ「エムット」を6月に開始 MUFGは6月2日から、新たな個人向け金融サービス「エムット」の提供を開始する予定だ。刷新された三菱UFJ銀行のアプリを通じて、グループ各社のサービスがまとめて利用可能になる。ポイントプログラムも見直され、より効率的にポイントを貯めて使えるようになる見込みだ。 預金獲得競争に備えた攻勢を開始 MUFGの亀沢宏規社長は、都内での記者会見で「ナンバーワンを守るためには攻めが重要」と述べ、預金口座数や資産管理分野での優位性維持に強い意欲を示した。デジタル化とリアル店舗の連携により、顧客基盤の強化と囲い込みを進める方針だ。 業界全体で加熱する個人金融サービスの展開 個人顧客の取り込みをめぐる動きは、他のメガバンクでも加速している。三井住友フィナンシャルグループはPayPayとの連携を進め、みずほフィナンシャルグループは楽天グループとの連携でポイント戦略を展開している。MUFGの今回の発表は、この市場競争における大きな一手といえる。
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