海峡支援停止で局面転換が浮上
トランプ米大統領は5月5日、ペルシャ湾内の船舶を誘導し、ホルムズ海峡を通過させるための支援措置「プロジェクト・フリーダム」を短期間停止すると明らかにした。イラン側との協議で「完全かつ最終的な合意」に向けた大きな進展があったためだとしている。停止は仲介役を務めるパキスタンなどの要請も踏まえた判断と説明された。
この取り組みは、事実上通航が難しくなっている海峡周辺で、船舶の移動と商取引の確保を図る目的で始まった。米政権幹部は直前まで、海峡における航行の自由を守る措置だと強調していた。トランプ氏の発表は、こうした説明の後に出されたため、今後の対イラン協議の行方に関心が集まっている。
封鎖措置継続で緊張は残存
トランプ氏は支援停止を表明する一方、イランの港を出入りする船舶に対する封鎖措置は続けるとした。米政権は「プロジェクト・フリーダム」について、イランへの経済的圧力を目的とした海上封鎖とは異なる措置だと説明してきた。今回の停止後も、米国の対イラン政策がすべて緩和されたわけではない。
イラン側のメディアは、米国の発表を「後退」と受け止める内容を伝えた。革命防衛隊に近いタスニム通信は、トランプ氏が計画の失敗を取り繕っていると批判した。米国が合意に向けた進展を強調する一方、イラン側は米側の説明に強く反発している。
米政権幹部が停戦維持を説明
ルビオ米国務長官は、米国とイスラエルによる対イラン作戦について、目的を達成して終了したとの認識を示した。そのうえで「我々は平和への道を望んでいる。大統領は合意を望んでいる」と述べ、交渉による解決を重視する姿勢を示した。ただし、イランがこれまでその道を選んでいないとも発言した。
ヘグセス国防長官は、一時停戦は現時点で維持されていると説明した。米統合参謀本部のケイン議長は、停戦開始後にイランが米軍に対して攻撃を仕掛けたとしながらも、それらは現時点で戦闘再開の基準を下回っていると述べた。トランプ氏も、交渉による紛争終結はなお可能だとの認識を示した。
イランは中国との外交を強化
イランは外交活動を活発化させている。アラグチ外相は5月6日、中国・北京を訪れ、王毅外相と会談した。イラン外務省によると、アラグチ氏は米国とイスラエルの行動を国連憲章違反だと非難する中国の立場に謝意を示し、戦闘終結に向けた外交プロセスを説明した。
中国外務省によると、王外相は全面的な停戦が急務であり、戦闘再開は許されないと述べた。さらに、交渉を続けることが重要だと強調した。アラグチ氏は先月27日にもロシアでプーチン大統領と会談しており、イランは中国やロシアとの関係を前面に出している。
通航安定化へ中国の役割が焦点
ルビオ長官は、アラグチ外相の中国訪問について、中国がイラン側に明確なメッセージを伝えることを望むと述べた。イランがホルムズ海峡で行っている行動は国際的孤立を招くと指摘し、世界経済を人質に取るべきではないとの趣旨を伝えるよう求めた。さらに、イランが海峡封鎖をやめることは中国にとっても利益になると述べた。
ホルムズ海峡は、通常、世界の石油と液化天然ガスの約20%が通過する要衝とされる。周辺では船舶攻撃やミサイル・ドローンをめぐる情報が相次ぎ、米国、イラン、湾岸諸国の主張は対立している。支援停止が合意形成につながるか、中国を含む関係国の外交対応が重要な焦点となっている。
