中東不安を受けた原油確保の動きが加速する
赤沢亮正経済産業相は5月5日、アラブ首長国連邦(UAE)のジャベル産業・先端技術相兼日本担当特使とアブダビで会談した。中東情勢の悪化により原油の供給に不安が広がる中、日本向けの安定的な供給拡大を求めた。エネルギー資源の多くを海外に依存する日本にとって、産油国との直接協議は供給体制を確認する重要な機会となった。
今回の会談では、原油調達に関する短期的な対応だけでなく、日本国内の備蓄体制も議題となった。赤沢氏は、UAEの石油会社が日本国内に保管する「産油国共同備蓄」の増量を要請した。会談後、赤沢氏はUAE側から増量に関する確約を得たと説明している。
UAE産原油が担う日本輸入構造の重要性示す
UAE産の原油は、日本の全輸入量の約4割を占めている。この割合は、日本のエネルギー調達におけるUAEの位置付けの大きさを示している。供給が不安定になれば、国内のエネルギー政策や産業活動に影響を及ぼすため、安定的な関係維持が重視されている。
UAEは石油輸出国機構(OPEC)を5月1日付で脱退し、段階的に増産する意向を示している。日本側は、この動きも踏まえながら、原油供給の拡大を求めた。中東地域で緊張が続く中、供給国の増産方針と日本の調達戦略が結び付く形となった。
共同備蓄増量で国内供給網の備えを強化する
産油国共同備蓄は、産油国の石油会社が日本国内で原油を保管する仕組みである。日本にとっては、緊急時に国内で利用できる原油を確保する意味を持つ。赤沢氏がUAE側に増量を求めた背景には、輸送や生産に支障が出た場合に備える狙いがある。
UAE側から確約を得たことにより、日本は原油供給の不確実性に対する備えを一段と強めることになる。共同備蓄の拡充は、単に保管量を増やすだけでなく、産油国との協力関係を具体的な形で示す取り組みでもある。中東情勢が悪化する局面では、こうした備蓄体制が安定供給を支える手段となる。
生産・輸送回復へ金融面での協力を提案する
赤沢氏は5月5日夜、パリで記者団の取材に応じ、UAEへの協力方針について説明した。イランの攻撃によりUAEのエネルギー関連施設に被害が出ていることを踏まえ、日本が原油の生産や輸送能力の回復に向けて金融面などで貢献する案を示したという。日本側は、供給を受ける立場にとどまらず、回復支援にも関与する姿勢を示した。
この提案は、原油の安定調達と産油国支援を結び付ける内容となっている。UAEの生産・輸送機能が回復すれば、日本への供給安定にもつながる。エネルギー関連施設への被害が確認される中、供給網の維持には産油国側の復旧能力も重要になる。
G7会合を前に資源外交の継続姿勢を示す
赤沢氏はUAE訪問に先立ち、5月4日にサウジアラビアのファイサル外相とも会談した。中東の主要産油国と相次いで協議したことは、日本が原油供給の安定確保を優先課題として扱っていることを示している。中東情勢が原油市場に影響を与える中、政府は関係国との対話を重ねている。
赤沢氏は5月6日、パリで開かれる主要7カ国(G7)貿易相会合に出席する。UAEやサウジアラビアとの会談で確認した内容は、国際協議に向けた日本の立場にも関係する。原油供給、共同備蓄、復旧支援をめぐる一連の動きは、日本の資源外交が中東情勢への対応と連動して進んでいることを示している。
