WTI77ドル台へ上昇、中東情勢を受け買い戻し広がる
6日のニューヨーク原油先物市場では、米国産標準油種WTIの9月物が4営業日ぶりに上昇した。終値は前日比2.07ドル高の1バレル=77.29ドルとなり、上昇率は2.75%だった。国際的な価格指標である北海ブレント先物も3.04ドル高の82.49ドルとなり、中東からの供給を巡る警戒感を背景に買いが優勢となった。
前日まではホルムズ海峡の開放に向けた動きが進むとの期待から原油相場が下落していた。今回の上昇は、海峡を巡る状況が早期に安定するとの見方が後退したことを反映した。
イラン議会で敵対国船舶の通航制限案を審議
相場反発のきっかけとなったのは、イラン議会の委員会が米国やイスラエルなどに関係する船舶のホルムズ海峡通航を制限する法案を検討しているとの報道だ。草案では、米国とイスラエルの船舶について海峡の通航を禁止する内容が盛り込まれているとされる。
そのほかの「敵対国」に関連する船舶については、補償金の支払いを条件に航行を認める仕組みも検討されている。規制に違反した船舶には、積載貨物の価値の最大20%に相当する罰金を科す条項も含まれると報じられた。
海峡開放への期待後退し供給増加観測が弱まる
原油市場では、それまで米国とイランの協議が進み、ホルムズ海峡を通じた原油輸送が安定するとの見方が広がっていた。8月2日には、オマーンが仲介する海峡開放交渉が最終段階にあるとイラン当局者が説明したとされ、供給環境の改善を織り込む動きが強まっていた。
その結果、WTI先物は前週末から一時11%を超えて値下がりした。ところが今回の法案審議が伝わったことで、米国とイランの対立が依然続いているとの認識が改めて広がり、売られていた原油を買い戻す動きにつながった。
世界の石油輸送支えるホルムズ海峡に市場が敏感
ホルムズ海峡は、サウジアラビアやイラク、クウェートなど中東の主要産油国が原油を世界市場へ送り出す重要な輸送ルートとなっている。2025年上半期の通航量は日量2090万バレルに達し、世界全体の石油消費量の約20%を占めた。
海上輸送される原油全体でも大きな割合を占めるため、船舶の航行条件に変化が生じれば国際市場への供給に直接影響する。今回も実際の供給量に変化が確認されたのではなく、航行規制を巡る報道そのものが価格を押し上げる材料となった。
フーシ派の攻撃も重なり中東の供給リスク再び焦点
原油価格の上昇には、イエメンの親イラン武装組織フーシ派を巡る動きも影響した。5日にはサウジアラビアの石油タンカーへのミサイル攻撃が伝えられ、6日にもイエメン国内の軍事拠点への攻撃が報じられた。
こうした動きが重なったことで、中東地域における原油輸送や石油関連施設への影響が再び意識された。原油市場では、米国とイランの海峡開放交渉に加え、ホルムズ海峡を巡る法案審議や地域での武力衝突が、供給環境を判断する主要な材料となっている。
