国境地帯の土石流で日本人5人が連絡途絶える
ネパールと中国・チベットの境界周辺で26日に発生した大規模な土石流を受け、日本人5人と連絡が取れない状態が続いている。ネパール政府が28日に公表した連絡不能の外国人名簿には、日本人5人が含まれていた。5人はいずれも同じ名字で、男性3人、女性2人とされ、日本政府も現地で安否確認を進めている。被災地域では外国人旅行者も多数巻き込まれたとみられ、各国の関係機関が所在の確認を急いでいる。
行方不明の5人は大阪市内の家族とみられる
関係者によると、連絡が途絶えている5人は大阪市内で暮らす40代の夫婦と、10歳の女児、6歳と3歳の男児の一家とみられている。子どもたちが通う小学校では28日、ネパールで連絡が取れなくなっていることが児童に伝えられた。夏休み明けになっても登校していなかったことから、周囲では旅行中だったと受け止められていた。学校の関係者は同日夕、一家の自宅を訪れて状況を確認しており、近隣住民や保護者からは無事を願う声が出ている。
中国側からネパール入りした直後に消息途絶える
一家の旅行の一部を担当したカトマンズ近郊の旅行会社によると、5人は中国・チベット自治区を訪れた後、26日に国境を越えてネパールへ入った。現地の運転手が午前8時51分、旅行者を迎えたとの連絡を会社に入れたが、その後は通信が途切れ、運転手の所在も確認できていない。カトマンズの宿泊施設には母親名義で26日から2泊の予約があったものの、一家は到着しなかった。国境通過後の移動経路と連絡が途絶えた地点の把握が、捜索を進めるうえで重要な手がかりとなっている。
外国人観光客にも被害広がり各国籍で不明者
今回の災害では、被災地域を訪れていた外国人にも大きな影響が出ている。ネパール政府が発表した連絡不能の外国人は537人で、インド人178人、アメリカ人65人、ウクライナ人53人、マレーシア人51人のほか、オーストラリア人やイギリス人、カナダ人、中国人も含まれる。ネパール軍は28日までに観光客119人を含む約900人を救助したとしている。一方、中国側でも外国人を含む多数の行方不明者が報告されており、国境をまたぐ広い範囲で捜索と救出が続いている。
現地で捜索続く中、家族5人の安否確認が焦点
ネパール側では少なくとも489人が死亡し、900人以上が行方不明となっており、中国側でも5人の死亡と多数の不明者が報告されている。現地では救助隊による捜索が続く一方、土砂で川がせき止められて湖が形成され、新たな洪水への警戒も強まっている。
行方不明とみられる一家の母親は、大学で学んだ美術や介護職の経験を生かし、福祉分野で絵画や工作を活用するNPO法人を設立して活動していたという。子どもの作品を福祉作業所で商品化する取り組みなども手がけており、地域では家族を案じる声が広がっている。日本人5人については、同行していた運転手や予定していた宿泊先などの情報をもとに所在確認が進められており、早期の安否判明が焦点となっている。
