慎重な資産売却の開始が決定
日本銀行は9月19日の金融政策決定会合で、保有する上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の売却を進める方針を固めた。長年の金融緩和策で膨らんだ資産を処分し、政策の正常化に向けて新たな一歩を踏み出すこととなる。
年間規模は限定的と説明
売却規模はETFで年間3300億円程度、J-REITで年間50億円程度にとどめる。いずれも市場全体の売買代金に占める割合はごくわずかであり、日銀は市場への混乱を避けることを最優先とする姿勢を示した。実際の売却開始は2026年初頭を予定している。
植田総裁「100年以上の時間を要する」
植田和男総裁は記者会見で、売却に必要な期間について「単純計算で100年以上を要する」と発言した。2025年3月末時点でETFの簿価は約37兆円(時価約70兆円)、J-REITは約6500億円(同約7000億円)に達しており、超長期的な対応になることが浮き彫りとなった。
株価市場に即時の反応
日経平均株価は、午前中に史上最高値を更新する場面があった。しかし、正午過ぎに売却方針が発表されると一転して下落し、一時800円以上値を下げた。最終的に前日比257円62銭安の4万5045円81銭で取引を終え、投資家心理に慎重さが広がったことが示された。
政策金利は据え置きの判断
会合では、一部委員が政策金利を0.75%程度に引き上げる提案を行ったが、賛同は得られず現状維持となった。これにより、政策金利は0.5%程度の水準が5会合連続で維持される。日銀は米国の関税強化策による経済への影響を注視しつつ、緩やかな正常化を続ける姿勢を明確にした。
