直営農場の新米が首都圏47店舗に登場
流通大手イオンは7日、埼玉県羽生市の直営農場で収穫した新米の販売を開始した。これまで県内の限られた店舗のみで取り扱っていたが、今年は首都圏47店舗へと販売網を広げた。中間コストを削減し、一般的な銘柄米より1〜2割安い価格設定とすることで、米価高騰が続く中での消費者需要に応える狙いだ。
価格は5キロ4298円、4銘柄を展開
今回販売されるのは「コシヒカリ」「あきたこまち」「彩のきずな」「にじのきらめき」の4銘柄で、いずれも直営農場で栽培されたもの。5キロあたり4298円(税込)で販売され、他ブランド米に比べて手頃な価格となっている。東京都江東区の店舗では販売初日から多くの買い物客が訪れ、「価格の安さが決め手」と話す声も聞かれた。
作付面積1.5倍に拡大、生産量100トンを見込む
イオンは2015年から羽生市で稲作を開始し、遊休農地の活用を進めてきた。今年は作付面積を約30ヘクタールへと1.5倍に拡大。これにより約100トンの生産を見込んでいるという。高温耐性を持つ品種の導入も進め、安定した供給体制の確立を図る。
農業分野での取り組みを加速
イオンはグループ会社「イオンアグリ創造」を通じて全国各地で農業事業を展開している。流通の大手企業が自ら生産に乗り出す動きは珍しく、農地の有効活用や価格安定化に寄与している。担当の川口雅明取締役は「コメの供給不足を補うだけでなく、農業の持続的発展にも貢献していきたい」と語った。
2030年までに生産量を2~3倍へ
今後は首都圏以外への展開や他の直営農場での生産拡大も視野に入れる。イオンは2030年までに生産量を現在の2〜3倍に増やす方針で、国内の米供給の安定化に向けた取り組みを本格化させる構えだ。自社生産・販売の強みを生かし、物価上昇局面でも消費者に安心価格を提供する体制づくりを進めている。
