トランプ政権が関税発動を「数週間」延期へ
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は27日、トランプ米大統領との電話会談で、メキシコ製品への追加関税率を25%から30%に引き上げる措置の発動を「数週間延期」することで合意したと明らかにした。米国は当初8月1日に発動予定としていたが、直前に90日間の猶予期間を設けた経緯がある。
フェンタニル流入問題が背景に
米国は合成麻薬フェンタニルのメキシコ経由による流入を抑止するため、3月から25%の追加関税を発動している。今回の引き上げ延期は、両国間で麻薬対策と通商問題を並行して協議していることを示すものであり、外交的緊張の緩和を目的とした一時的措置とみられる。
協議進展で再協議の場を設定
シェインバウム大統領は記者会見で、非関税障壁をめぐる協議が前進していると述べた。両首脳は、今後数週間以内に再び会談を行い、残された課題の解決を目指すことで一致したという。米通商代表部(USTR)とメキシコ経済省の間では、労働メカニズムや知的財産保護に関する議論も進行中とされる。
USMCA枠組みを維持しながら交渉継続
シェインバウム大統領は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の枠組みが維持されていることを強調した。USMCA原産品に関しては追加関税の適用を回避できる点を確認し、メキシコが引き続き北米経済圏の一翼を担う姿勢を示した。さらに、自動車や鉄鋼、アルミ製品など一部品目に関しても協議を続けると表明した。
メキシコ経済への影響と今後の展望
エブラル経済相は、関税交渉と並行してUSMCAの見直し作業を2026年初頭に開始する予定を示した。今回の合意により、メキシコは対米投資の安定性を確保し、貿易環境の悪化を回避した形となる。両国の協議結果次第では、北米市場全体の供給網再編にも影響を及ぼす可能性がある。
