AI需要急増受けた設備増強計画を公表
NTTは4月27日、人工知能の利用拡大に対応するため、国内のデータセンター整備を大幅に強化する計画を明らかにした。グループ全体での設備投資を通じ、処理能力の増強と運用体制の高度化を同時に進める方針である。
今回の計画では、国内施設の処理能力を2033年度までに約1ギガワットへ拡大する目標を掲げた。これは2024年度時点の水準と比較して3倍を超える規模となり、AIの普及に伴う計算需要の急増に備える狙いがある。
NTTは、用途に応じたAI基盤を整備することで、国内産業のデジタル化を支える役割を強化するとしている。
東京や福岡など各地で新設を推進
設備拡張は既存施設の増強に加え、新規建設によって進められる。東京や千葉、福岡など複数の地域に新たな拠点を設け、国内の広範囲で安定したデータ処理体制を確立する。
NTT西日本は2029年に福岡市で新施設を完成させる予定で、海底ケーブルと接続する構造を採用する。これにより通信効率を高めるとともに、エネルギー消費の抑制にもつなげる方針である。
また、都市部でも新しい施設の建設が計画されており、ネットワークの集積地としての機能強化が進められる見通しである。
冷却技術導入で消費電力削減を図る
新設および既存施設には、消費電力の削減を目的とした新技術が導入される。中でも注目されているのが、液体を循環させて機器を冷却する方式である。
この方式は従来の空調中心の冷却と比べて効率が高く、最大で60%程度の電力削減が可能とされている。高性能な計算装置を大量に稼働させるAI用途では、冷却効率の向上が重要な課題となっている。
こうした技術革新により、施設全体のエネルギー効率を高めつつ、増大する処理需要への対応力を確保する考えである。
半導体開発支援など新たな用途拡大
NTTグループ傘下のNTTドコモビジネスは、先端半導体の国産化を目指す企業に対して新型施設を提供する計画を示した。半導体の設計や製造には膨大な計算能力が必要とされており、専用の設備が重要な役割を担う。
さらに、金融、医療、製造といった幅広い産業分野に向けてサービス提供を拡大する方針も示された。AIによるデータ分析や自動化が進む中で、こうした分野からの需要は今後も増加すると見込まれている。
NTTは、高速通信網を活用して各施設を連携させ、大量データを効率的に処理できる体制を構築する方針である。
市場拡大と競争激化への対応強化
電子情報技術産業協会の見通しでは、国内のデータセンター市場は2030年に約5兆6000億円へ拡大し、2025年比で約30%増となる見込みである。AI関連サービスの普及が市場拡大の主要な要因とされている。
一方で、通信各社も同様の投資を進めている。KDDIは大阪府堺市で大規模施設を稼働させ、ソフトバンクも同地域で新施設の運用開始を予定している。
NTTの島田明社長は、AIの活用が進む中で推論処理の需要が拡大すると指摘し、全国に分散した施設の整備が不可欠との認識を示した。
