資源とエネルギーが焦点化
フランス東部エビアンで開かれたG7サミットは6月17日に閉幕し、エネルギー安全保障や重要鉱物の確保が主要なテーマの1つとなった。高市総理大臣は閉幕後の記者会見で、中東情勢に端を発したエネルギー供給不安が世界経済に影を落としたと述べた。そのうえで、G7として明確で一致したメッセージを世界に発信できたことの意義を強調した。
今回の会議では、アメリカとイランの戦闘終結に向けた合意を受け、中東情勢への対応が重要な議題となった。エネルギー輸送の安定は各国経済に直接関わるため、ホルムズ海峡の航行や石油備蓄の強化が議論された。日本は資源の安定確保を重視し、サプライチェーンの強じん化を前面に打ち出した。
日本提案が成果文書に反映
高市総理大臣は、エネルギー安全保障の強化に向けて3項目を提案したと説明した。内容には、不当な輸出制限への反対や石油備蓄強化の支援が含まれる。これらの提案は成果文書に反映され、G7として供給不安への備えを強める姿勢が示された。
特に重視されたのが、レアアースを含む重要鉱物の確保だ。高市総理大臣は、各国による重要鉱物の備蓄制度導入を日本が支援する構想を提唱し、参加国の賛同を得たと明らかにした。首相は、特定国への過度な依存を減らし、G7や同志国で代替調達先を広げていくことが重要だと述べた。
中東情勢が供給不安を拡大
地域情勢に関する共同声明では、イランに核兵器を保有させないことが確認された。ホルムズ海峡については、制限や通航料なしに航行できる権利があるとし、国際貿易の根幹に関わる問題として位置づけられた。海峡の安定はエネルギー輸送と直結し、G7の経済安全保障上の課題として扱われた。
高市総理大臣は、アメリカとイランによる和平に向けた取り組みを評価した。その一方で、中東情勢を背景とするエネルギー供給不安が世界経済に与えた影響にも言及した。G7はこうした情勢を踏まえ、エネルギー備蓄や輸送路の安定確保を通じ、経済への影響を抑える必要性を共有した。
AI議論と首脳間協議も実施
最終日の会合では、経済に加えてAIをめぐる議論も行われた。米オープンAIのサム・アルトマンCEOや、日本のSakana AIの伊藤錬社長など、各国企業のトップも参加した。G7サミットは地域情勢だけでなく、先端技術や経済分野の課題にも議題を広げた。
また、高市総理大臣は、G7を含む各国首脳との個人的な信頼関係を強化できたと述べた。インド太平洋の地域情勢、中国を含む諸課題、北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題について、率直な意見交換を行ったと説明した。日本時間6月16日夜には、トランプ大統領とも短時間懇談した。
経済安保で日本の役割鮮明
今回のサミットでは、ウクライナ、中東、インド太平洋に関する共同声明に加え、重要鉱物やエネルギーに関する共同文書が採択された。包括的な首脳宣言は見送られたが、分野別の成果文書を通じて、G7の共通方針が示された。日本の提案が複数の文書に反映されたことで、資源とエネルギーをめぐる経済安全保障で日本の役割が明確になった。
高市総理大臣は、エネルギー安全保障やサプライチェーンの強じん化という世界的課題に対し、G7として一致した答えを出せたと述べた。レアアースなど重要鉱物の共同備蓄連携構想は、特定国依存を抑える取り組みとして成果文書に盛り込まれた。地域情勢の緊迫化を背景に、資源確保と供給網安定の重要性が改めて浮き彫りとなった。
