約371億円の評決を受けて対応方針を公表
キオクシアホールディングスは7月17日、米国で争われている特許権侵害訴訟について、陪審から約2億2900万ドルの損害賠償を命じる評決を受けたと明らかにした。日本円では約371億円に相当する。会社側は判断を受け入れない姿勢を示し、控訴を含む法的手続きによって争いを継続する。
評決が出たのは現地時間7月16日で、審理を担当したのは米テキサス州西部地区連邦地裁である。原告は米衛星通信会社のビアサットで、キオクシアが扱う一部製品によって自社の特許権が侵害されたと訴えていた。陪審はビアサット側の説明を認め、キオクシア側に賠償を求める結論を出した。
キオクシア子会社2社が米国訴訟の対象に
訴えられているのは、キオクシアホールディングスの連結子会社であるキオクシアと、米国で製品販売を行う子会社の2社である。ビアサットは2021年11月、キオクシアのフラッシュメモリー製品の一部が、自社の保有する特許1件を侵害しているとして裁判を起こした。提訴から約5年を経て、陪審による判断が示されたことになる。
ビアサット側は、問題となった製品に自社の知的財産が無断で利用されたとの立場を取っている。一方、キオクシア側は権利侵害を認めず、対象となった特許についても有効性がないと主張してきた。製品と特許技術の関係だけでなく、権利そのものが法的に成立するかどうかも争われている。
評決後の申し立てと控訴を視野に入れ対応
キオクシアホールディングスは、ビアサットの主張と陪審判断について、容認できないとの見解を公表した。第三者が所有する知的財産を尊重することはグループの基本姿勢だとしたうえで、今回の評決には誤りがあると説明している。賠償命令をそのまま受け入れる考えはない。
キオクシアは今後、陪審評決を受けた後に認められている申し立てを連邦地裁に行い、状況に応じて上級裁判所への控訴も進める。現段階では具体的な法的手続きの内容を公表していないが、選択可能な手段を幅広く活用する構えである。賠償責任と支払額が確定するまで、裁判上の争いは続く見通しだ。
製品とサービスの提供には影響なしと説明
巨額の賠償評決が示された一方、キオクシアは顧客向けの製品やサービスに影響はないと説明している。今回の判断によって、フラッシュメモリー製品の製造や販売、供給が停止する状況にはなっていない。通常の事業活動を維持しながら、裁判上の対応を進める。
訴訟の対象は一部のフラッシュメモリー製品と特許1件を巡る争いである。提供中の製品やサービス全般に関する制限が示されたわけではないため、顧客への供給体制は継続される。会社側は事業運営と法的対応を分け、訴訟による実務上の影響を抑える姿勢を示している。
業績への影響を精査しながら争う構え示す
キオクシアホールディングスは、訴訟が連結業績に及ぼす影響について、現時点では精査中としている。約371億円という評決額が示されたものの、今後の申し立てや控訴によって判断や金額が変更される可能性があるため、会計上の影響を直ちに確定できる段階にはない。会社は訴訟手続きの進展を踏まえながら対応する。
今回の発表では、事業への直接的な影響を否定すると同時に、司法判断に対して徹底して異議を唱える姿勢が示された。キオクシア側は、特許侵害の認定と対象特許の有効性の双方について、引き続き自社の主張を展開する。今後は地裁での評決後手続きと、控訴を含む上級審での対応が焦点となる。
