世界のAI設備投資が1兆ドル規模へ拡大続く
人工知能(AI)を巡る設備投資が世界規模で急速に膨らんでいる。米金融大手ゴールドマン・サックスの試算では、2026年のAI関連設備投資は世界全体で1兆ドル、約159兆円に達する。AI向けデータセンターや半導体、コンピューター設備などへの資金投入が続き、世界経済に占める存在感も高まっている。
世界の国内総生産(GDP)に占めるAI投資の割合は2026年に0.9%となり、2027年には1.3%、2028年には1.4%へ上昇する見通しだ。AIの普及が進む中、設備整備の規模も一段と拡大する構図となっている。
米国が投資額の半分超を占める構図が鮮明に
2026年の世界のAI投資のうち、米国は5810億ドルを占めると見込まれている。世界全体の半分を超える水準で、AIインフラへの投資が米国に集中している状況が示された。
米国ではGDPに対するAI投資の比率も急上昇する。2026年の1.8%から2027年には2.5%、2028年には2.8%となる試算で、世界平均を大きく上回る。大規模なデータセンター整備や関連設備への需要が、国内の投資活動を押し上げている。
半導体や電子部品の価格上昇が大幅に加速する
AI関連設備への需要拡大は、米国内の製品価格にも表れている。7月の卸売物価指数では、半導体・電子部品の価格が前年同月比27.1%上昇した。卸売物価全体の4.7%上昇と比較しても、伸びの大きさが際立つ。
コンピューターや周辺機器も同9.6%上昇した。データセンター建設が相次ぐ中、高性能な半導体や情報処理設備への需要が集中しており、AI投資の急拡大が関連分野の価格を押し上げる形となっている。
データセンター需要が電力料金にも広く波及
AIの利用拡大に必要なデータセンターは、大量の電力を消費する。建設ラッシュと稼働設備の増加により電力需要が拡大し、7月の米国の電気代は前年同月比4.2%上昇した。
AI投資による価格への影響は、半導体やコンピューターといった直接的な設備だけに限られない。データセンターを支える電力にも需要増が及び、AIインフラの拡大が複数の分野でコスト上昇につながっている。
生産性向上期待の一方で足元は物価押し上げ
AIは業務効率や生産性を高め、中長期的には物価上昇を抑える効果が期待されている。一方、現在は巨額の設備投資が短期間に集中しているため、関連製品や電力への需要が供給を上回り、価格上昇を促す状況となっている。
世界のAI投資規模は今後もGDP比で拡大する見通しで、特に米国ではその比率が高まる。AIによる生産性向上への期待と同時に、設備投資の急増が物価に与える影響も経済動向をみる上で重要な要素となっている。
