トクリュウ対策でスマホ遠隔解析導入へ、重大犯罪の未然防止に向け新制度を早期整備へ

篠宮 文香
经过

トクリュウ対策で遠隔解析の早期導入を求める提言

匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」への対策を検討してきた警察庁の有識者会議は24日、指示役らが使うスマートフォンなどの通信内容を遠隔で把握する新たな仕組みについて、早期の導入を求める提言をまとめた。目的は、強盗などの重大犯罪が実行される前に犯行計画や標的に関する情報をつかみ、被害の発生を防ぐことにある。特殊詐欺の被害増加に加え、強盗事件が相次ぎ人命が奪われる事例も出る中、従来の捜査だけでは対応が追いつかない状況が背景にある。

秘匿性の高い通信アプリで既存捜査に生じる限界

トクリュウでは、面識のない首謀者や指示役、実行役が匿名性の高い通信アプリを悪用し、スマートフォンで指示や連絡を交わす例が続いている。警察は押収した端末を特殊な技術で解析し、やり取りを復元して上位メンバーの特定や検挙につなげてきた。2022年から翌年にかけた広域強盗事件や、2024年に首都圏で相次いだ闇バイトによる強盗事件、2026年5月に栃木県上三川町で起きた強盗殺人事件でも通信アプリが連絡手段に使われた。端末解析から指示役や上位メンバーの特定につながった一方、解析には時間がかかり、犯行内容を把握できるのは事件発生後となる場合が多かった。

犯行計画や標的情報を取得し重大事件の阻止へ

新たに検討される遠隔解析では、複数人による差し迫った強盗などの重大犯罪を防ぐため、対象端末から犯行計画や標的となる人物の氏名、住所など必要な情報を取得することが想定されている。得られた内容を基に警察官を現場へ向かわせるなどし、犯罪を実行前に阻止することを目指す。現在も通信事業者から記録の提供を受ける方法や、裁判所の令状を得て通信を傍受する捜査は認められているが、強固に暗号化されたアプリでは進行中の犯罪に関する情報を把握しにくいという課題がある。遠隔で情報を得る具体的な技術は示されておらず、今後の制度検討で詰めることになる。

裁判官の許可など遠隔解析に厳格な実施条件

遠隔解析は通信の秘密や個人のプライバシーに直接関わるため、提言は実施条件を限定するよう求めた。重大犯罪がすでに起き、同種の被害がさらに懸念されることや、別の方法では被害防止に必要な情報を集めることが難しく、緊急性が高いことなどを要件とする。実施前には裁判官の審査を受けて許可を得ることとし、対象端末も重大犯罪の犯人が使用していると合理的に認められるものに絞る。実際に解析を行う警察官も、警察庁長官が指名した限られた担当者に限定する方向が示された。

法改正を視野に制度化と監督体制の整備を加速

提言は、許可された範囲外の情報を取得した場合の消去や、重大犯罪を防いだ後に端末の使用者へ解析対象だったことを速やかに伝える仕組みも求めている。さらに、公安委員会が全ての実施事例について事後報告を受けて確認できる制度や、対象となった事件や件数を国会へ報告し、定期的に公表する対応も盛り込むよう求めた。警察庁は遠隔解析を可能にする規定を設けるため、警察官職務執行法の改正を含めた制度設計を進め、できるだけ早い導入を目指す方針だ。

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