中国大手との連携を選択した背景 ソニーグループは、競争が激化するテレビ市場での立て直し策として、中国大手メーカーのTCLと合弁会社を設立する。出資比率はTCLが51%、ソニー側が49%となる。韓国や中国メーカーとの価格競争が厳しさを増す中、単独での事業継続から協業路線へと舵を切った。 一気通貫型の事業運営体制 合弁会社では、製品の開発・設計から製造、販売、物流、顧客対応までを一体で担う。TCLが持つディスプレー技術や大量生産によるコスト競争力を基盤とし、世界市場での存在感を高める体制を構築する。ソニー側は技術とブランドを提供する役割を担う。 技術力とコスト競争力の融合 ソニーが長年培ってきた映像・音響技術と、TCLの製造力を組み合わせることで、製品の競争力向上を狙う。新会社の製品には「ソニー」や「ブラビア」のブランド名が使われ、従来のファン層を維持しながら新興市場への展開も視野に入れる。 市場シェアの差が示す構造課題 2025年のテレビ出荷台数では、TCLが世界シェア13.8%と上位に位置する一方、ソニーは10位にとどまった。工場の一部は外部委託に移行しており、固定費削減を進めてきたが、市場での存在感低下は否めなかった。今回の合弁は、こうした構造的課題への対応策でもある。 新体制が示す事業の位置づけ ソニーグループ内で、テレビやスマートフォン事業は「構造変革・転換」領域に位置づけられている。今後はスポーツ関連技術や音楽ライブなど、体験価値を高める分野への投資を強化する方針だ。合弁会社の事業開始は2027年4月を目指し、テレビ事業は新たな枠組みで継続される。
米国で始動する研究開発の新拠点 SCREENホールディングスは、米ニューヨーク州オールバニに海外初となる研究開発拠点を設立した。投資額は約120億円に達し、2026年度の稼働を予定している。拠点は、先端半導体研究で知られる研究センター内に位置し、半導体製造装置の高度化を目的とした研究活動を担う。 洗浄装置を核に先端分野へ展開 新拠点では、SCREENが強みとする半導体洗浄装置を中心に、次世代工程に対応した装置開発を進める。クリーンルームには最先端設備を導入し、洗浄分野にとどまらない研究を実施する。複数の技術領域を横断した研究を行うことで、製造プロセス全体を視野に入れた技術開発を進める。 研究センター内での企業間連携 研究センターには、アプライドマテリアルズやIBMなど、世界的な半導体関連企業が入居している。SCREENは同じ施設内での研究活動を通じ、装置メーカーや関連機関との協業を深める。研究環境を共有することで、技術的な知見の交換や共同研究を迅速に進める体制を整える。 国内拠点と連動した開発体制 滋賀県彦根市の主力工場や京都市の研究拠点と連携し、国内外を結ぶ研究ネットワークを構築する。基礎研究から製品開発までを一体的に進めることで、開発期間の短縮を図る。海外拠点で得た成果を国内の製造や設計に反映させる役割も担う。 半導体装置事業の競争力向上へ 米国での研究開発体制を強化することで、SCREENは半導体装置事業全体の競争力を高める。洗浄分野で培った技術を基盤に、先端製造プロセスへの対応力を拡充する方針だ。グローバルな研究環境を活用し、成長分野への取り組みを本格化させる。
国内投資減税の導入検討が進展 経済産業省が2026年度からの税制改正に向け、国内設備投資を対象とした新たな優遇制度の導入を進めている。投資額の一定割合を法人税から控除する仕組みを軸とし、企業規模を問わず幅広い業種の投資意欲を引き出す狙いが示された。現行制度に限定されがちな分野を超えて、大規模な製造工場やソフトウェア開発まで適用範囲を広げる方向だ。 即時償却の延長要望が判明 中小企業を中心に活用されてきた「即時償却」についても延長が検討されている。通常は複数年に分けて計上される減価償却費を、初年度に全額経費化できる特例措置を2年間延ばす方針だ。これにより資金繰りを改善し、新たな投資サイクルを後押しする効果が期待されている。さらに、減価償却資産の基準額引き上げも要望の中に含まれている。 米国とドイツの政策が日本に影響 今回の取り組みの背景には、米国やドイツの積極的な投資優遇政策がある。米国では7月に即時償却を恒久化する法律が成立し、ドイツも460億ユーロ規模の減税法案を可決した。欧米諸国の競争的な投資支援策に対し、日本が後れを取れば企業の投資先が海外に流れる懸念が強まり、経済成長に影響を及ぼす可能性がある。 高関税による投資停滞への対応 米政権による高関税政策は、日本企業の国内投資に直接的な影響を与えている。特に電気自動車関連のプロジェクトでは、中止や延期が相次ぐ状況だ。経産省はこうしたリスクに対応するため、国内の投資環境を改善し企業の競争力を維持する方針を明確にした。 新税制実現へ向けた政治的調整の行方 政府は2040年度に官民で200兆円規模の国内投資を目標に掲げているが、今回の新税制の導入には国会での合意が必要となる。与党が参院選で議席を減らした影響もあり、野党の理解を得ることが不可欠だ。年末に向けた税制改正の議論では調整の難航が予想され、実現に向けた政治的課題が浮上している。
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