病院での服役が違法と認定された経緯が判明
タイ最高裁判所は9月9日、汚職の罪で有罪となったタクシン元首相に対し、刑務所での服役を回避して病院で過ごしていたことは違法と認定した。裁判所は、病状は深刻ではなく刑期として認められないと結論づけ、1年間の収監を命じた。判決直後にタクシン氏はバンコクの刑務所へ移送された。
目次
帰国後の優遇措置が批判を呼んだことが焦点に
タクシン氏は2006年のクーデターで失脚後、2008年から亡命生活を続けていた。2023年8月に帰国すると禁錮8年の有罪判決を受けたが、体調不良を理由にすぐ病院へ搬送された。その後、恩赦で刑期は1年に短縮され、2024年2月に仮釈放となった。しかし病院での長期滞在が「服役逃れ」と批判されていた。
判決後の声明で国家への奉仕を強調したことを強調
判決を受けたタクシン氏は、SNSに声明を投稿した。そこで「自由を失っても国家と国民に尽くす考えに変わりはない」と強調し、王室や国家への忠誠を表明した。収監によって政治活動に直接関与することは難しくなるが、影響力維持の姿勢を示したとみられる。
政権交代とタクシン派の影響低下が浮き彫りに
判決の直前、憲法裁判所が8月29日にタクシン氏の次女ペートンタン前首相を解任し、9月5日の首相指名選挙では保守系のアヌティン氏が新首相に選ばれた。タクシン派は政権の後ろ盾を失い、判決によって一層の求心力低下が予想されている。
今後の政治情勢に及ぶ影響が指摘される
今回の収監命令は、タクシン派が長年維持してきた国内での影響力を大きく削ぐ要因となるとみられる。国内外で影響力を誇示してきたタクシン氏だが、服役によって活動が制限され、タイ政治の勢力図が大きく変化する可能性が浮き彫りとなった。
