横浜市と日産が命名権契約の新条件で合意か
横浜市港北区にある「日産スタジアム」の命名権をめぐり、日産自動車が提示した年間5,000万円での契約更新に、市が応じる方針を固めたことが関係者への取材で明らかになった。これは現在の契約額の半額以下にあたり、経営再建中の日産にとって負担軽減を図る動きとみられる。
現行契約は来年2月で終了予定
日産は2005年に「横浜国際総合競技場」の命名権を取得して以来、名称は「日産スタジアム」として広く浸透してきた。現在の契約は市内の2施設を合わせたもので、年間1億~1億5,000万円、総額約6億円に達し、来年2月に満了を迎える予定となっている。
名称変更回避で市が柔軟対応
市は日産の提示を受け入れる理由として、名称変更に伴い公共施設800か所以上の標識交換が必要となり、市民生活や行政業務に混乱を招く可能性を指摘。短期的には現行名称を維持することで、影響を最小限に抑える狙いがある。
他社も参入意欲、再来年以降は公募へ
一方で、スタジアムの命名権取得に関心を示す他企業も存在しており、市は2027年以降の契約については広く公募を行う方針に転換する。これまで日産と優先交渉を行ってきた方式からの変更となり、競争原理を導入することで収入増も視野に入れている。
経営再建下の日産にとっての意味
日産は経営再建の途上にあり、広告宣伝費の削減が課題となっている。命名権契約を縮小してもスタジアムの名称は引き続き使用できるため、ブランド維持とコスト削減の両立を図る選択となった。今後の市との交渉は9月中旬をめどに結論が出る見通しだ。
