消費者物価が3か月ぶりの下落を記録
中国国家統計局が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.4%低下し、3か月ぶりにマイナスに転じた。7月は横ばいで推移していたが、再び物価が下落に転じたことで消費の弱さが浮き彫りとなった。エコノミスト予想は0.2%減にとどまっており、下落幅は市場予測を上回った。
食品と自動車価格が下落の要因に
今回の下落の大きな要因は生鮮野菜や豚肉の価格低下に加え、消費者の節約志向による自動車など耐久財の値下がりにあると指摘されている。物価の低下は消費心理の冷え込みを反映しており、需要喚起が進まない現状が続いている。
生産者物価は縮小傾向を示す
同時に発表された生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.9%減となり、35か月連続のマイナスとなった。ただし7月の3.6%減からは下落幅が縮小し、底打ちの兆しもわずかに見られる。生産現場では過剰供給が続いているものの、価格下落の勢いには鈍化がみられる。
GDPデフレーターの低下が続く構図
CPIやPPIの動きと連動する形で、中国のGDPデフレーターも9四半期連続でマイナスが続いている。今年で3年目に突入したことは、1970年代後半の計画経済から市場経済への移行以来初めての事態となっている。需給の不均衡が長期化し、企業収益を圧迫する状況が広がっている。
政府が内需拡大策を最優先に掲げる背景
こうした中で、中国政府は内需拡大を最重要課題とし、消費刺激策の実施に注力している。過剰生産能力や過当競争の抑制も課題であり、経済安定化に向けた政策の実効性が問われる状況だ。さらに、米中間の関税交渉の進展や再燃する可能性のある貿易摩擦も景気動向を左右する重要な要素となっている。
