物価上昇を巡る対応策が焦点に
自民党総裁選は、国民の関心が高い物価高対策をめぐって議論が展開されている。5候補は22日から23日にかけて記者会見や討論会に臨み、速やかな対応を約束した。現金給付や消費税減税など与野党の従来案には直接触れず、それぞれが独自の経済政策を強調した。
候補ごとの経済政策が判明
小林鷹之氏は所得税改革を通じた可処分所得の増加を訴え、移行期間に定率減税を実施するとした。茂木敏充氏は「生活支援特別地方交付金」の新設を掲げ、3年で平均年収を50万円引き上げるとした。林芳正氏は低所得層支援のため「日本版ユニバーサルクレジット」を導入し、実質賃金の安定的上昇を目指すと述べた。小泉進次郎氏はガソリン税暫定税率の廃止や所得税の基礎控除の見直しに言及した。高市早苗氏は公約に給付付き税額控除を明記し、成長戦略に必要な赤字国債増発にも踏み込んだ。
党改革に向けた具体案を発表
党改革も論戦の柱となった。小林氏は「世代交代」を強調し、若い世代の主導を訴えた。茂木氏は女性や若手を大胆に登用し、閣僚の平均年齢を10歳若返らせるとした。林氏は「ゼロからの再建」を掲げ、デジタルを活用した発信力強化を提示した。高市氏は北欧諸国に匹敵する女性登用を掲げ、党役員会に多様性を持ち込む考えを示した。小泉氏は全議員が役割を担う体制を呼び掛けた。
外交・安全保障と憲法改正を強調
外交や安全保障をめぐる議論では、違法な在留外国人への厳格対応で一致した。小泉氏は政府の司令塔機能を強化し、年内に行動計画をまとめるとした。憲法改正については、高市氏が「憲法9条改正」を最優先とし、小林氏は任期中の発議を明言した。小泉氏も「与野党の議論を進める」と訴えた。
石破首相が後継に期待を表明
石破茂首相は23日、公邸での取材に応じ、具体名は挙げなかったものの「政策を引き継いでくれる人が選ばれることを望む」と発言した。林氏や小泉氏を念頭に置いた発言とみられ、後継選びの方向性を示唆した。
