歴代談話を踏襲し開戦経緯を検証
石破茂首相は退陣を前に、戦後80年を機に先の大戦を振り返る個人見解を10日に発表する見通しとなった。関係者によれば、見解では開戦に至った政治的・軍事的背景を中心に言及し、政府と軍部の関係性を再検証する方針だ。歴史認識自体は従来の談話を継承する形でまとめられる見込みである。
北岡氏と最終協議、戦後70年談話の流れ継承
8日午前、石破首相は首相官邸で東京大学名誉教授の北岡伸一氏と会談した。北岡氏は安倍政権下の「戦後70年談話」に関わった経験を持ち、今回の見解作成においても助言役を担っている。北岡氏は会談後、「80年見解は70年談話を書き換えるものではない」と述べ、首相の焦点が「なぜ戦争が起きたか」という要因分析にあると説明した。
保守派が反発、発表見送りを要請
一方で、自民党内の保守系議員や高市早苗総裁は見解発表に慎重な姿勢を示している。高市氏は総裁選中に「70年談話は未来志向であり、改めてメッセージを出す必要はない」と発言した。さらに保守系議員連盟「日本の尊厳と国益を護る会」代表の青山繁晴参院議員は、8日の会見で「中国などが歴史戦に利用する恐れがある」として発表見送りを求めた。
林官房長官は「詳細控える」と説明
政府側の動きとして、林芳正官房長官は同日の記者会見で「首相が北岡氏から意見を聴いた」と述べつつ、発表の時期や内容については「詳細は控えたい」と語った。発表時期をめぐっては、党内調整の進展を踏まえて最終判断が行われるとみられる。
歴史認識をめぐる再燃と今後の焦点
首相見解の発表は、退陣前の節目として国内外に一定の影響を与える可能性がある。戦後70年談話以来、歴史認識をめぐる論争は自民党内でも繰り返されており、今回も保守層と中道派の立場の違いが浮き彫りとなった。発表内容がどのように受け止められるかが、次期政権にも影響を及ぼすとみられる。
