裁判での「全て事実」認諾が判明
10月28日午後、奈良地裁で初公判を迎えた山上被告は、殺人罪に関して「全て事実です。間違いありません」と述べ、起訴状の内容を全面的に認めた。弁護側は銃刀法違反の発射罪については争う姿勢を示したが、殺人罪という重大な起訴事実は否定しなかった。
手製銃製造と標的選定の背景が明らかに
検察側の冒頭陳述によると、被告は母親が多額の献金をしていた旧 世界平和統一家庭連合への恨みを抱いており、教団トップを標的にする計画から転じて安倍氏を襲撃の対象と定めたという。手製銃を約10丁製造し、コロナ禍などを理由に一部を断念した後、安倍氏の関連団体へのメッセージを知り「著名な安倍氏を狙えば教団に注目が集まる」と考えたと検察側は説明した。
弁護側が主張する「宗教的虐待」の存在
弁護側は被告の家庭環境にも論点を置き、母親が旧 統一教会に入信し、家庭内で「宗教的虐待」に該当するいさかいが常態化していたと主張。兄の自殺、母の大きな献金などが被告の精神に影響を及ぼした可能性を示唆し、量刑を判断する上でこれらを十分勘案すべきだと訴えた。
発射罪の適用を巡る法的争点
起訴状には銃刀法違反(発射罪)も含まれているが、弁護側は「手製銃の威力などから、銃刀法の発射罪が規定する『砲』には当たらない」と主張している。この主張が裁判でどう判断されるかが、量刑決定の鍵を握るとみられている。
判決日が確定、社会的影響も注視
裁判は来年1月21日に判決が言い渡される予定である。首相経験者銃撃という前例のない重大事件であるため、社会的反響も大きく、量刑がどのように示されるか、国内外の関心が集まっている。
