強気の業績予測が示す事業環境の変化
エヌビディアは2025年11月〜2026年1月期の売上を650億ドル前後と見込む計画を公表し、市場の想定を上回る予測を提示した。この見通しは、先端GPUの販売が依然として堅調に推移していることを示し、AI関連市場の拡大が続いている事実を裏付けるものとなった。調整後売上総利益率は75%前後とされ、高水準を維持する姿勢が明確になった。
過去最高の四半期業績が報告
同社が公表した8〜10月期決算では、純利益が319億1千万ドル、売上高が570億600万ドルとなり、いずれも四半期として過去最高を更新した。前年と比較して利益と売上が大幅に伸びた背景には、AI向け半導体の需要が拡大し続けていることがある。GPUの供給が逼迫する状況下で、クラウド事業者やAI開発企業による発注が継続した。
主要事業の動向が示した需要の強さ
第3四半期の総売上高は62%増加し、AI向けGPUを中心としたデータセンター事業が業績の中心を担った。この部門での売上は512億ドルとなり、アナリスト予測を超える水準に達した。売上の伸びが7四半期ぶりに加速した点は、AIインフラ需要の底堅さを示す重要な指標となった。同社は先端半導体の予約額が来年にかけて拡大するとの見通しを示している。
資金集中とバリュエーションへの注意が必要
AIブームが続く一方で、市場では企業価値の上昇ペースに対して慎重な見方もある。売上の6割以上が4社に集中している構造や、AI企業への巨額投資が継続している点が、資金循環の偏りを生むとの指摘がある。また、クラウド企業に提供したGPUを後にレンタルとして回収するモデルへの投資が増え、総契約額が260億ドルに達したことも資金の動きを大きくしている。
市場拡大を支える外部環境の動向
米国の規制で中国向け出荷が抑えられている状況下、サウジアラビアとUAEの企業には最大3万5000個のGPU輸出が許可された。この承認により同社は中東地域での事業展開を広げる余地を得たが、大規模AIインフラの運用には電力や用地の確保といった制約が残る。電力網の余力やインフラ整備の進捗が、需要を利益につなげる時期を左右するとの指摘がある。
