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今治造船とJMU統合で進む造船再編の全体像

造船業界再編の節目となる動き 国内造船最大手の今治造船は、ジャパンマリンユナイテッドの株式を追加取得し、議決権比率を30%から60%へ引き上げた。これによりJMUは連結子会社となり、国内造船業界における再編が大きく前進した。取得手続きは2026年1月5日付で完了している。 世界4位規模となる建造能力 今治造船とJMUの建造量を合算すると、世界ランキングで4位規模に相当する。中国や韓国の大手造船企業が存在感を強める中、日本勢としては規模面での対抗力を高める形となった。国内建造量の約半分を両社が占めており、再編の影響は業界全体に及ぶ。 技術連携と次世代船への対応 今治造船の檜垣幸人社長は、研究開発にとどまらず建造分野でも技術交流を進める考えを示した。特にLNG燃料船やアンモニア燃料船といった代替燃料船の建造を加速させる方針で、環境対応技術の強化が軸となる。JMU側も企業の枠を超えた開発体制を整え、迅速な対応を目指す。 政府方針と国際連携の位置付け 政府は造船業を重点投資分野と位置付け、官民で1兆円規模の投資を行い、2035年までに年間建造量を倍増させる計画を掲げている。こうした政策の下、今治造船とJMUの統合は中核的な役割を担う。さらに日本政府は2025年10月、米国と造船分野での協力に関する覚書を締結している。 経済安全保障を意識した産業再構築 檜垣社長は、同盟国との連携を強化し、経済安全保障上の責任を果たす姿勢を明確にした。世界的な造船競争の中で、日本の生産基盤を維持・強化することが狙いであり、今回の子会社化は産業構造の再構築を象徴する動きと位置付けられる。

海底ケーブル敷設船公開で安全保障強化が焦点に

国際通信支える装備を報道陣に公開 NTTワールドエンジニアリングマリンは12月11日、横浜港に寄港した海底ケーブル敷設船「SUBARU」を報道関係者に公開した。海底ケーブルは国際通信量のほぼ全体を担い、日本の通信基盤を維持する要となる。船内では敷設装置や浅海域での埋設に用いられる機器が披露され、運用現場の実態が示された。重要インフラとして注目が高まる中、同社は海底敷設の工程や保守体制を丁寧に説明し、通信需要が増す状況に対応する姿勢を示した。 大型敷設船の特徴と作業体制が明らかに SUBARUは全長124メートル、総トン数9557トンの大型船で、これまでに国内外で約5万1000キロのケーブル敷設に関わってきた。同社は3隻の敷設船を運用し、故障修理にも対応する体制を整えている。浅い海域では投錨や漁業活動による損傷を防ぐため、ケーブルを海底下に埋め込む作業が不可欠となる。公開されたロボットは溝を掘りながら埋設を進める仕組みで、海底環境に応じた調整が求められる。船員は6時間交代で作業を行い、張力管理を含む緻密な操作が必要となる。 新型敷設船建造の検討が進む背景 公開と同時に、同社がSUBARU級の新型敷設船の建造を検討していることも明らかになった。SUBARUは1999年建造で老朽化が進んでおり、海底ケーブルの需要増や保守案件の増加に対応するには新たな能力が必要とされる。世界では約570本、総延長148万キロ以上の海底ケーブルが利用され、動画視聴やAI普及に伴う通信量急増が続く。国内通信を支える企業が自社運用能力を確保することは、経済安全保障の強化にも直結する。 官民連携で強まる供給体制の再構築 海底ケーブルは国際連携を支える基盤であり、切断や損傷は経済活動に直結する。日本政府はルート多重化や保守網の強化を進め、敷設船確保を支援する姿勢を示した。令和7年度補正予算案には海底ケーブル防護策の調査費として3億円を計上し、国内事業者の体制強化を後押しする。世界的には中国企業を含む競争が激化し、欧州ではフランス政府が大手ケーブル企業の株式取得に動くなど、国家的な関与が進んでいる。 重要インフラとしての位置づけが一段と強まる 日本の国際通信の99%は海底ケーブルに依存しており、安定運用は不可欠だ。技術競争と需要拡大が進む中、敷設能力の維持と更新は長期的な課題となる。NTTグループは今後も保守や敷設の実績を生かし、国内外の需要に応える方針だ。公開された設備と説明は、国際通信を支える基盤が高度な技術と継続的な投資によって支えられている現状を示すものとなった。

高市政権、造船業再生とレアアース開発を重点施策に

成長戦略会議で17分野を提示、高市カラー鮮明に 政府は10日、高市早苗首相の主導による「日本成長戦略会議」を初めて開催し、経済対策に盛り込む重点施策を発表した。AIや半導体、造船業など17分野を戦略領域に設定し、経済安全保障を柱とした「高市カラー」を前面に打ち出した。首相は「従来の枠組みにとらわれない大胆な発想を」と呼びかけ、閣僚に補正予算と税制措置の準備を指示した。 造船再生ロードマップ策定へ、日米協力も反映 重点分野の中心となるのが、国際競争で後れを取る造船業の再生である。政府は「造船再生ロードマップ(仮称)」を策定し、国内メーカーの設備投資を支援する。10月のトランプ大統領来日に合わせた日米の協力覚書を踏まえ、共同研究や技術連携の強化も盛り込む。造船分野の立て直しは、日本の海運産業全体の底上げに直結する施策と位置づけられた。 南鳥島でレアアース試掘を加速、中国依存脱却へ 資源分野では、レアアースの自給体制構築を急ぐ。会議では2026年1月に予定される南鳥島周辺海域での試掘を加速する方針が示され、中国への依存を減らす戦略を明記した。エネルギー安全保障やGX(グリーントランスフォーメーション)政策とも連動し、産業基盤の強靭化を目指す。 設備投資減税で民間資金を誘導、複数年度予算化 会議はまた、企業の大規模設備投資に対する減税制度の創設を検討。単年度に限らない複数年度予算で支援を行うことで、民間企業の投資予見性を高める狙いがある。税優遇措置の導入により、半導体や造船分野での大規模投資を後押しし、経済の長期的な成長基盤を固める方針を示した。 成長戦略は来夏に総括、前倒し実施も視野 政府は来年夏までに成長戦略全体を策定し、緊急性の高い施策は経済対策に前倒しで盛り込む方針だ。人材育成、賃上げ、サイバーセキュリティーなどの横断的課題にも対応し、官民連携による「強い経済」構築を目指す。高市政権の経済運営は、安全保障と成長投資を両輪とする方向性を明確にした形となった。

高市政権が成長戦略を始動 過去の課題克服なるか

経済安全保障と成長の両立を掲げる新方針 高市早苗首相は11月4日、全閣僚が出席する「日本成長戦略本部」の初会合を開催し、経済の再生と安全保障強化を両立させる新たな戦略の方向性を示した。政府はAIや造船、防衛、エネルギー、半導体など17分野を重点支援とし、民間投資を促す制度を整備する。首相は「供給力を抜本的に強化し、危機に備える経済基盤をつくる」と強調した。 「日本成長戦略会議」で官民連携を制度化 この方針のもと、政府は「日本成長戦略会議」を新設した。高市首相と経済政策を共有する有識者が参加し、官民が一体となって投資促進策を議論する。重点分野ごとに担当閣僚を置き、政策の一貫性を確保する体制を採る。政府はこれまでの経済対策に見られた「バラマキ型」を脱し、構造的な成長力強化を目指すとしている。 17分野に広がる投資対象と支援策の焦点 投資対象には、AI・半導体の技術革新、造船産業の再建、防衛関連の国内生産力強化のほか、航空宇宙や核融合技術などの新領域も含まれる。また、アニメやゲーム産業などのコンテンツ分野も「日本独自の競争力を持つ資産」として支援対象となる。これらは単なる成長産業ではなく、危機対応力を高める国家戦略の一部と位置づけられている。 歴代政権の政策を継承しつつ課題を再定義 過去の政権も同様に成長戦略を掲げたが、持続的な経済拡大にはつながらなかった。高市首相は安倍晋三元首相のアベノミクスの投資促進策や、岸田文雄元首相の「新しい資本主義」の分配重視政策を引き継ぎつつ、これらを融合する形で政策を再構築している。政府は「税率を上げずに税収を増やす」との方針を掲げ、企業収益と所得の底上げを通じて財政健全化を図る。 経済基盤の強化と実効性が問われる局面 今回の戦略が成果を上げるかどうかは、実施段階の政策連携にかかっている。専門家は「過去の成長戦略が効果を上げなかった要因を分析し、構造的な障害を取り除けるかが鍵」とみる。急速な物価上昇や実質賃金の伸び悩みが続く中、高市政権が打ち出す新方針は、経済の持続力を左右する試金石となりそうだ。

日米首脳、84兆円投資と防衛協力強化で合意

首脳会談で「新たな黄金時代」を宣言 高市早苗首相とトランプ米大統領は10月28日、東京・元赤坂の迎賓館で初の首脳会談を行い、日米関係の「新たな黄金時代」を目指す共同文書に署名した。両首脳は日米関税合意に基づく総額5500億ドル(約84兆円)の対米投資を「着実に履行する」と明記し、経済・安全保障両面での協力を深化させることで一致した。 防衛費前倒しと自前抑止力強化を表明 会談では、高市首相が防衛関連費をGDP比2%に引き上げる時期を2025年度中に前倒しする方針を説明。日本が主体的に防衛力を強化する決意を示した。トランプ氏は日本の装備品調達に謝意を示し、「日米同盟はこれまで以上に強固になる」と応じた。両国は中国・北朝鮮・ロシアの連携にも言及し、台湾海峡の安定維持を改めて確認した。 経済分野で5500億ドルの投資文書に署名 日米両政府は、半導体、AI、エネルギーなど9分野を対象とした5500億ドル規模の投資計画を文書で確認した。日本政府は国際協力銀行(JBIC)を通じた出資や融資保証を実施する方針。高市政権では、茂木敏充外相と赤沢亮正経産相が実行責任を担う。赤沢氏は「大きな果実を生むプロジェクトに成長することを期待する」と述べた。 サプライチェーンとAI分野の協力を拡大 両国はまた、レアアースをはじめとする重要鉱物のサプライチェーン強化に関する覚書を締結。南鳥島やハワイ沖での共同開発を推進することを確認した。さらにAIや次世代通信、核融合といった先端技術7分野で協力を進める覚書も交わし、経済安全保障体制の連携強化を図る。 米側主導への懸念と日本企業の慎重姿勢 一方で、投資案件の選定を米商務長官が議長を務める「投資委員会」が主導する仕組みには、国内企業から懸念も出ている。日本側の資金拠出が滞れば関税再引き上げの可能性も指摘されており、高市政権の交渉力と実行力が問われる局面となった。

トランプ氏、高市新総裁を称賛「日本の偉大な一歩」

トランプ大統領がSNSで祝意を表明 米国のドナルド・トランプ大統領は10月6日、自身のSNSに投稿し、自民党の新総裁に選出された高市早苗氏を称賛した。トランプ氏は投稿で「深い知恵と強いリーダーシップを持つ尊敬すべき人物」と述べ、「日本の人々にとって素晴らしいニュースだ。おめでとう!」と祝意を表した。高市氏は日本初の女性総裁として注目を集めており、今月中旬に召集予定の臨時国会で石破茂首相の後任として新首相に指名される見通しだ。 「日本初の女性首相」との発言が話題に トランプ氏は投稿の中で「日本が初めて女性の首相を選んだ」と記し、国際社会の注目を集めた。実際には高市氏はまだ首相には就任していないが、この表現は米国側が日本の政治変化を歓迎している姿勢を象徴するものと受け止められている。投稿では高市氏の名前に直接言及はなかったものの、内容から明らかに彼女を指しているとみられる。 米国内でも高市氏への関心が高まる トランプ氏による発言は米国内のメディアでも報じられ、政治評論家の間では「日米関係を再び強化する可能性のあるサイン」として注目されている。トランプ政権時代、彼は日本の防衛分担や通商政策に関して強い発言を続けてきた。今回の祝意表明は、同盟国としての日本への期待と信頼を改めて示したものとみられる。 日米同盟強化への布石 高市氏は経済安全保障政策の分野で実績を持ち、米国との連携を重視してきた政治家として知られる。トランプ氏の早期の祝意は、次期政権下での連携強化を促すメッセージとも受け取れる。米中対立が続く中で、サプライチェーン防衛や技術協力など、両国間の協調が一層重要になるとみられている。トランプ氏が今後も日本の政策方針に関心を持ち続ける可能性は高い。 新総裁誕生がもたらす国際的反響 日本で初めて女性が自民党総裁に就任したことは、国内外のメディアで広く報じられた。トランプ氏のコメントはその象徴的な反応の一つであり、世界の主要指導者の間でも日本の新たな政治リーダー誕生への関心が高まっている。高市氏が首相就任後にどのように外交を展開し、米国との信頼関係を築いていくかが、今後の焦点となる。

半導体装置工場視察で経済安保強化を確認

政府が重視する経済安全保障の背景が判明 日本政府は近年、半導体分野を経済安全保障の中核に位置付けている。供給網の安定確保は国家戦略として欠かせず、その一環として東京エレクトロンの役割が注目されている。今回、赤沢亮正経済再生担当相が宮城県大和町の工場を訪れたのも、その重要性を改めて確認する狙いがある。 東京エレクトロン工場が果たす役割を発表 視察先の大和町工場は、半導体製造に不可欠なプラズマエッチング装置の開発と生産を担っている。基板上の膜を精密に削る工程は高度な技術を要し、同社は世界市場でも高いシェアを維持している。こうした現場を政府関係者が直接確認することは、産業政策の後押しとして大きな意味を持つ。 工場の増強計画と市場拡大の影響 社会のデジタル化進展により半導体需要は拡大している。東京エレクトロンはそれに応えるため、生産設備の拡張を進めている。政府支援と企業の積極的な投資が連動することで、日本の半導体産業基盤が一層強化される見通しだ。 政府・企業間の意見交換が実施された 赤沢氏は製造ラインを確認した後、河合利樹社長ら経営陣や技術者と意見を交わした。会談では研究開発や供給網の課題など幅広い論点が話し合われ、官民の連携強化が意識された。経済安全保障を前提とした協力体制の構築が進んでいることが示された。 日本の半導体産業への展望を強調 視察後の記者会見で赤沢氏は「わが国の半導体産業の未来には明るい希望がある」と述べた。政府は引き続き支援策を打ち出す方針であり、国際的競争力を高める取り組みが継続される見通しだ。今回の訪問は、日本が再び半導体大国としての地位を確立するための重要な一歩といえる。

日EU首脳、防衛産業と経済安保で連携を確認

欧州とインド太平洋の安保は不可分と明言 石破首相は7月23日、首相官邸でEUのコスタ大統領およびフォンデアライエン欧州委員長と対面し、定例の首脳協議を行った。協議では、欧州とインド太平洋における安保環境が密接に関連しているという共通認識のもと、防衛やサイバー安全保障を含む分野での協力を強化する方向で一致を見た。 防衛産業分野で新たな対話枠組みを設置へ 協議では、防衛産業に関する対話の新たな枠組みを創設する方針が示された。これにより、日本とEUは技術協力や生産体制の強化を目指し、相互運用性の向上と防衛力の底上げに取り組むこととなる。両者は機密性の高い情報の共有を可能にする情報保護協定の交渉にも着手するとしている。 経済安全保障で「競争力アライアンス」を始動 自由貿易体制の維持を掲げ、経済安全保障を重視する日EUは、新たな連携枠組み「競争力アライアンス」の設立に合意した。これにより、産業競争力の強化や重要インフラ保護、対中・対米の戦略的立場の共有が加速する見通し。閣僚級の定期協議による実務的連携も盛り込まれた。 希少資源の供給網強靭化で日EUが協力を推進 経済分野では、レアアースを含む重要鉱物のサプライチェーン強靭化に向けて協力を深める方針が確認された。特に中国依存の是正が喫緊の課題とされ、安定的かつ信頼性の高い供給体制の構築に両者が連携することになった。 ロシア・北朝鮮の動きに強い警戒感 安全保障の国際的課題として、ウクライナ支援の継続とロシアに対する制裁の維持が改めて確認された。あわせて、ロシアと北朝鮮の軍事協力への強い懸念が共有され、共同での非難が盛り込まれた。協議全体の成果は共同声明として発表された。

経産省、ラピダスに8025億円の追加支援を発表

日本の半導体産業強化へ向けた新たな一手 経済産業省は2025年3月31日、先端半導体の国産化を目指す「ラピダス」に対し、新たに最大8025億円の追加支援を行うと発表した。これにより、政府の支援総額は1兆7200億円を超えることになる。今回の支援は、2ナノメートル半導体の試作開始を控える同社の事業推進を後押しするものだ。 ラピダス、4月から試作ラインを稼働 ラピダスは、北海道千歳市の工場で2025年4月から2ナノメートル半導体の試作を開始する予定だ。これは、現在世界で量産されていない最先端技術であり、成功すれば国内の半導体産業にとって大きな転機となる。 政府の支援は、製造装置や原材料の調達、生産管理システムの開発、さらには製造技術の確立を目的としている。2ナノメートル半導体の実用化に向けて、技術面・資金面の両方から後押しする狙いがある。 支援総額は1兆7200億円を突破 ラピダスへの政府支援は、これまでも最大9200億円の枠組みで決定されていたが、今回の追加支援により、その総額は1兆7200億円に達する見込みだ。これは日本の半導体産業に対する過去最大規模の公的支援となる。 背景には、米中の技術競争が激化する中、日本政府が経済安全保障の観点から、国内の半導体生産基盤の強化を急ぐ必要があると判断したことがある。 政府、ラピダスの株主化を計画 さらに政府は、ラピダスへの支援強化の一環として、同社の実質的な株主となることを目的とした法案を国会に提出した。この法案が可決されれば、政府は1000億円の追加出資を行い、国家プロジェクトとしての性格を一層強めることになる。 経済産業省は「日本の半導体産業の競争力を高めるために、民間企業と政府が一体となって支援を継続する」としており、今後の展開が注目される。 日本の半導体産業の未来と課題 今回の大規模支援により、日本の半導体産業は新たな成長フェーズに入ることが期待される。しかし、2ナノメートル半導体の量産化には、技術的な課題や国際競争の激化など多くのハードルが存在する。政府の資金支援が国内産業の競争力向上につながるか、今後の進捗が鍵となる。