成長戦略会議で17分野を提示、高市カラー鮮明に
政府は10日、高市早苗首相の主導による「日本成長戦略会議」を初めて開催し、経済対策に盛り込む重点施策を発表した。AIや半導体、造船業など17分野を戦略領域に設定し、経済安全保障を柱とした「高市カラー」を前面に打ち出した。首相は「従来の枠組みにとらわれない大胆な発想を」と呼びかけ、閣僚に補正予算と税制措置の準備を指示した。
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造船再生ロードマップ策定へ、日米協力も反映
重点分野の中心となるのが、国際競争で後れを取る造船業の再生である。政府は「造船再生ロードマップ(仮称)」を策定し、国内メーカーの設備投資を支援する。10月のトランプ大統領来日に合わせた日米の協力覚書を踏まえ、共同研究や技術連携の強化も盛り込む。造船分野の立て直しは、日本の海運産業全体の底上げに直結する施策と位置づけられた。
南鳥島でレアアース試掘を加速、中国依存脱却へ
資源分野では、レアアースの自給体制構築を急ぐ。会議では2026年1月に予定される南鳥島周辺海域での試掘を加速する方針が示され、中国への依存を減らす戦略を明記した。エネルギー安全保障やGX(グリーントランスフォーメーション)政策とも連動し、産業基盤の強靭化を目指す。
設備投資減税で民間資金を誘導、複数年度予算化
会議はまた、企業の大規模設備投資に対する減税制度の創設を検討。単年度に限らない複数年度予算で支援を行うことで、民間企業の投資予見性を高める狙いがある。税優遇措置の導入により、半導体や造船分野での大規模投資を後押しし、経済の長期的な成長基盤を固める方針を示した。
成長戦略は来夏に総括、前倒し実施も視野
政府は来年夏までに成長戦略全体を策定し、緊急性の高い施策は経済対策に前倒しで盛り込む方針だ。人材育成、賃上げ、サイバーセキュリティーなどの横断的課題にも対応し、官民連携による「強い経済」構築を目指す。高市政権の経済運営は、安全保障と成長投資を両輪とする方向性を明確にした形となった。
