元県議を巡る虚偽発言が発端となる
兵庫県警は9日、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)を名誉毀損容疑で逮捕し、10日に送検した。立花氏は2024年12月、大阪府泉大津市長選の街頭演説で、兵庫県議会の竹内英明元県議(当時50歳)が「警察に取り調べを受けている」と発言。その後もSNSなどで「逮捕予定だった」などと投稿し、虚偽情報を拡散した疑いが持たれている。
名誉毀損の訴えとSNS中傷の連鎖
竹内氏の妻が6月に刑事告訴し、県警は調査を進めていた。立花氏の発言をきっかけにSNS上では大量の誹謗中傷が発生。竹内氏は県議会の百条委員会で兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を調査していたが、SNSでの攻撃を受けて辞職し、翌年1月に自宅で死亡しているのが見つかった。自殺とみられ、県警は誤情報による影響を重視している。
県警「事実無根」 発言の信頼性を否定
兵庫県警幹部は「竹内氏に対する取り調べは行っていない」と明言し、立花氏の発言内容を「事実無根」とした。さらに、「真実と信じるに足る相当な理由もなかった」として、発信の違法性を強調。発言が社会的信用を損ねたと判断し、虚偽の情報発信が犯罪に該当すると結論づけた。
立花氏「発言を争わない」と供述
立花氏は逮捕後、「発言した事実は争わない」と述べている。過去には「不起訴、あるいは無罪になると確信している」とも話していたが、県警は逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断。容疑の対象は死亡した人物に関する名誉毀損であり、異例の立件となった。
政治活動への影響と今後の捜査
立花氏は静岡県伊東市長選(12月7日告示、14日投開票)への出馬を表明していたが、今回の逮捕で活動に影響が出る可能性がある。県警は今後、発言の目的や拡散経路を詳しく調べ、発信の責任範囲を追及する方針だ。
