政府が協議体で示した課題が判明 政府は11月25日、首相官邸で政労使会議を開催し、来年の賃上げ環境について意見交換を行った。高市早苗首相は、昨年と今年に続く高い水準の賃上げを維持することが必要だと述べ、5%超の上昇率を安定させる取り組みを求めた。会議は高市政権発足後で初めて開かれ、政労使がそろって労働条件や企業収益の動向を共有する場として位置づけられた。出席者は政策対応や経済情勢の認識を示し、賃金政策に関する共通理解の構築を図った。 経済界が示した見解が発表 経済界からは、経団連の筒井義信会長や日本商工会議所の小林健会頭が参加し、企業が直面する外部環境について説明した。筒井氏は、米国での関税政策や日中関係の緊張によって経営リスクが高まっていると述べ、賃上げの数値目標を明示することには慎重な姿勢を示した。小林氏は円安が中小企業の仕入れ負担に強く影響する現状に触れ、為替変動への対策の必要性を訴えた。経済界は賃金の引き上げを肯定しつつも、外的要因が企業活動に及ぼす影響に目を向ける姿勢を示した。 労働側が表明した方向性が判明 労働界からは、連合の芳野友子会長が参加し、賃上げの推進に向けた姿勢を共有した。芳野氏は、賃金改善を双方が目指すべき方向だとしたうえで、政府の支援策に期待を寄せた。また、首相が指示した労働時間規制の見直しに関する発言の中で、労働者の安全確保を最優先にすべきだと述べ、規制緩和に対しては反対の立場を明確にした。労働界は、賃上げと労働環境の整備を同時に進める方針を示した。 中小企業支援策の内容が公表 首相は、政府が21日にまとめた経済対策の中で、中小企業や小規模事業者向けに1兆円規模の支援措置を組み込んだと説明した。賃金を継続的に引き上げられるよう、投資面の負担を抑える制度を整えたことを示し、賃上げを企業任せにしない姿勢を明らかにした。これらの支援は、事業者の成長投資と働く側の処遇改善を同時に進める役割を持つと述べ、政策の重要性を示した。 最低賃金議論の扱いが明確に 会議では、前政権が掲げていた全国平均1500円の最低賃金目標は議題に上らず、首相も触れなかった。今回の協議は賃上げを安定的に進めることが主眼に置かれ、賃金全体の底上げに関する議論が中心となった。政労使は賃金改善に向けた課題や取り組みを共有し、継続的に協議を進める必要性を確認した。
初任給引き上げで若手の人材確保を強化 人事院は8月7日、2025年度の国家公務員の給与について、月給・ボーナスともに引き上げを勧告した。特に注目されるのは、大卒総合職の初任給を1万2000円増額し、手当込みで30万1200円とする点で、初めて30万円の大台を突破することになる。人材確保に向けた施策の一環として、若年層への重点配分が強調された。 政府全体で34年ぶりの大幅な月給増加に 人事院が内閣と国会に提出した勧告によると、公務員の月給は約1万5000円、割合で3.62%の増額が見込まれている。これは3%を超える改定としては34年ぶりとなる。また、年間のボーナスは4.65か月分に増やすよう求められており、基本給と賞与の両方で増額が継続するのは4年連続となる。 この改定は、地方を含む民間企業における賃上げの動向や、人材獲得競争の激化に対応するものとして位置づけられている。 民間比較基準の見直しが勧告の背景に 今回の勧告では、公務員給与の比較対象となる企業の条件も見直された。これまで「従業員50人以上」としていた基準が「100人以上」に変更され、本府省勤務者に関しては「東京23区に本店を置く1000人以上の企業」との比較が採用された。この変更により、民間との給与格差が明確になり、公務員の給与水準が相対的に低いことが浮き彫りとなった。 幹部クラスにも手厚い支給が加わる見通し 今回の勧告では若年層だけでなく、管理職や幹部職員への手当も盛り込まれている。例えば、本省勤務の室長(40歳)の年収は1089万6000円(91万8000円増)、課長(50歳)は1447万3000円(99万1000円増)、局長は1938万6000円(120万1000円増)となる見込みだ。 さらに、本省幹部や管理職には月額5万1800円の特別手当が新設される方針が示されている。 勧告の波及効果と政権の姿勢が注目される 石破首相は「民間の賃上げの流れが反映されたものであり、公務員全体の人材確保に資する内容だ」と述べ、政府内での前向きな議論に意欲を示した。また、今回の勧告が「地域経済の賃上げや待遇改善にも良い影響を与えることを期待する」とも語っている。 一方、人事院の川本総裁は記者会見で、「若年層と中堅以上へのバランスの取れた引き上げで、職員のモチベーション向上と高いパフォーマンスを促す」と述べた。
2026年度予算編成が大きな転換点を迎える 2025年7月22日、政府は2026年度予算編成の方向性を示すため、概算要求基準の草案を発表した。この新基準は、各省庁が予算を調整する際の指標となり、従来の方針からいくつかの重要な改訂が行われた。 政策経費の増額が認められる 新しい基準では、「裁量的経費」と呼ばれる政策判断による予算増減が、前年度比で2割増しとなることが認められた。これにより、各省庁は柔軟に予算を調整し、成長戦略や社会福祉などの重要政策を支援することが可能となる。しかし、この措置により、総額が膨らむ可能性もあり、注視が必要だ。 特別枠の廃止とその影響 また、これまで存在した成長戦略などを優遇する「特別枠」が廃止されることが決定した。この変更は、優遇措置を受けていた分野に影響を与えると見られる。政府は、特別枠の廃止により、より平等な予算配分が実現することを目指しているが、今後の予算要求にどのように影響するかは不透明だ。 賃上げ促進と物価高対策が重点項目に 新しい基準では、「事項要求」という金額を示さない予算要求が認められ、賃上げ促進や物価高対策が重点項目として挙げられている。これにより、これらの分野への支援が強化され、2026年度の予算全体における配分に大きな影響を与えることが予想される。 財務省の査定と今後の動き 政府は、各省庁からの予算要求を8月末までに受け付け、年末には財務省がその査定を行う予定だ。概算要求基準に基づく予算の最終決定は、2025年の年末に行われる予定であり、その後の予算編成に向けて政府と省庁の調整が続く。
税収が史上初の75兆円台に達する見通し 2024年度の国の一般会計税収が過去最高の75兆円台に達することが判明した。これまでの最高額であった2023年度の72兆761億円を大幅に上回り、5年連続の増収となる見通しである。関係者によれば、財務省は近く正式に発表する予定だ。 景気回復と物価高が税収押し上げに寄与 背景には、企業の収益拡大や物価の上昇傾向がある。消費税収と法人税収がともに堅調に推移し、税収の増加に直結した。さらに、労働市場の逼迫を背景に賃上げが進んだことも、間接的に税収を押し上げる要因となった。物価と給与水準の上昇が並行して起こる状況下で、購買活動の活発化も一定の影響を与えた。 予想を超えた2兆円規模の上振れ 財務省が見込んでいた73兆4,350億円という税収額に対し、2024年度の実績は約2兆円多くなる見通しとなった。この規模の上振れは極めて異例であり、今後の予算措置や政策形成に大きな影響を及ぼす可能性がある。 政府・与党は物価高対策に充当の意向 自民党は、この上振れ分を物価高対策の財源として用いる構想を掲げている。エネルギーや食料品価格の高騰が続く中、国民の生活を支える直接的な支援に税収を活用する考えだ。具体的な使途は今後示されるが、すでに補正予算案の編成を巡る議論が始まっている。 野党は「国民への返還」を強く主張 一方で野党各党は、税収の大幅な上振れに対して、「過剰な徴収」であると批判を展開している。「取り過ぎた分は国民に還元すべき」との立場を強調し、所得減税や定額給付金の実施を訴えている。この論点は、2025年の参院選に向けた有権者の関心を集める争点の一つとなっており、今後の国会審議においても大きな議論を呼ぶとみられる。
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